なぜヒトだけが老いるのか (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 学問とはあんまり関係なく、第一印象は「持てる者の綺麗事」だったが、持たざるものであっても、その地平を目指すことになんの不都合もなく、本書とは全く関係ないけれど、メディアはかくも人を切り刻んで分断してきたんだなぁと別の感想に至ってしまった。あと、自分もそれに毒されてたと。
    よって、これは学問した方でないと至れない地平であり、新しい気付きが得られるとともに、なんというか、結局のところ古の善に帰結する、人は未だに掌から出られない孫悟空なのだと、いい加減出ようよ、もう、2024年だよと、よくわからない妄想の渦を喚起される一冊になってしまった。

  • 若い頃は利己的でシニアになると利他的。
    ヒトの寿命は本来55歳程度で、そこから癌が増える。
    死は究極の社会貢献。

  •  
    ── 小林 武彦⦅なぜヒトだけが老いるのか 20230622 講談社⦆ISBN:4065326400
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B0C7QDPW8D
     
    …… 動物はヨボヨボにならない。サケは産卵すると脳が縮んですぐ死
    ぬ。動物はたいてい元気なままコテンと死に、誰かに食べられてしまう。
     ヒトだけが老いても長く生きるのはなぜか。子育ては手間がかかる。
     “おばあちゃんが元気で長生きな家族ほど…子だくさん”で、進化に
    有利だった(おばあちゃん仮説)。壊れた遺伝子を修復する能力も高く
    なった。集団の知恵を蓄積し結束をはかるのに老人は役立ったのだ。
     
     著者は言う。生まれるのは偶然でも死は必然。生物が進化するのに必
    要な、究極の利他的行為だ。遠からず死ぬと意識するシニアは、《次世
    代を育て集団をまとめる調整役になれる》。高齢化社会は生物進化の到
    達点、相応の利点があるわけだ。
     
     本書の提案は、《「老い」を老いずに生き》よう。前向きだ。子孫を
    残し仕事に励む現役世代から、シニアは一歩退いている。人生のごほう
    びに当たる時期だ。だが能力はまだまだ高い。現役に混じって働ける。
    だから少子化のいま、年齢で区切る定年は不合理だ。公共のためにも活
    動し、《老年的超越》の境地に近づくひともいる。進化生物学の裏付け
    のある、元気の湧くシニア論だ。(20230819 毎日新聞)
     
     小林 武彦  生物学 19630927 神奈川 /Kobayashi, Takehiko
     
     橋爪 大三郎 社会学 19481021 神奈川 /Hashizume, Daizaburou
    /東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。執筆活動を経て、
    1989 東工大に勤務。現在、東京工業大学名誉教授。
     
    ── 《仏教の言説戦略 ‥‥ 勁草書房》
    ── 《世界がわかる宗教社会学入門 ‥‥ ちくま文庫》
    ── 《はじめての構造主義 ‥‥ 講談社現代新書》
    ── 《社会の不思議 ‥‥ 朝日出版社》
    ── 《裁判員の教科書 ‥‥ ミネルヴァ書房》
    ── 《はじめての言語ゲーム ‥‥ 講談社》
     
    ……“「老い」を老いずに生き”よう。高齢化社会は生物進化の到達点
    https://news.yahoo.co.jp/articles/f0661cacd9004439417d75068503fef58025573d?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20231011&ctg=lif&bt=tw_up
     
     老人の、老人による、老人のための出版物(リンカーンのパクリ)。
    …… Government of the people, by the people, for the people !
     Lincoln, Abraham 18090212 America 18650415 /16[18610304–18650415]
     18631119 米大統領がゲティスバーグ(戦没者追悼式)の演説。
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%EA%A5%F3%A5%AB%A1%BC%A5%F3
     
    (20231011)

  • 70歳から80歳が人生で一番きつい

  • なぜ生物は死ぬのか、の著者の新作です。

    「なぜ生物は死ぬのか」の中で、生き物は食べられて死ぬ者と食べられなくなって死ぬ者の二種類に分類できるとあった。
    ヒトはもちろん後者である。

    ヒトの他、老いる生き物としてシャチ(あとは忘れた)が挙がっていた。
    ヒトとシャチなど老いる生き物の共通点として、群れの中での生きる生き物であるといえる。
    著者は、集団の中で老人には役割があり、そのために老いるまで生き続けることができるようになっているとの説を推している。
    なるほど、群れの中で経験的に語り伝えられている知恵を持っているものや、養育の手伝いをしてくれる存在として老いたものの役割はある。
    そういった存在は、尊ばれ、大切にされるであろう。
    その結果、長く生きることができるようになる。

    医療技術の発展ももちろんではあるが、健康寿命が延びたことも大きい。
    また、もしかしたら晩婚化も老いた者がより長く生きねばならない要因になったのかもしれない。

    個人的には55歳程度でもういい気がしている。
    人生が終わらなくとも、その年齢を過ぎれば、第三の人生とでもいうべき人生を歩んでもいいのではないかと秘かに思っている。
    老いることは悪いことだけではないとは思うが、とりあえず長く生きればいいというものでもないだろう。

    何を成して、何を残したか。
    ぼちぼち考え始める年齢に入った気もする。

  • 前作「生物はなぜ死ぬのか」が、目からウロコの好著だったので、期待して読んだ。
    ヒト以外の生物は老いずに(老いる前に)死ぬ、という現実をあらためて再認識させてもらった。
    そして、生きることは利己的なことだが、死ぬことは利他的なことという生物学的な見方に腑に落ちるところがあった。
    後半のシニア論は、かなり底の浅いエッセイあるいは感想レベルの文章で蛇足である。

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著者プロフィール

生物学者。

「2023年 『高校生と考える 21世紀の突破口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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