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感想・レビュー・書評
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【読了メモ】ぞっとすると言っても嘘ではないし、わかると言っても嘘ではない。上手く言い表わせませんが、そんなお話でした。
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主人公は桜の持つ神秘的な美しさを信じられないことで不安を感じていた。
しかし、「樹の下で絡み付いた桜の根が、屍体の汁を吸い上げている」と空想することにより、彼は桜の美しさの証拠を掴むことができた。
理由を意識することでのみ桜の美しさを信じることができる彼は、
「屍体が頭から離れていこうとしない」から「今こそ村人たちと同じ権利で花見の酒が飲めそう」だと考えた。
つまり、「不条理な美しさは不安を感じるが、理由を掴んでいれば安心して美しさを味わうことができる」という風に私は解釈しました。
また、「安全剃刀の刃」「ウスバカゲロウの屍体」といったアイテムによって印象に鮮明さと統一感が増しているところなど、さすがだと思います。
つくづく、梶井基次郎はアイテム選びの上手さに定評のある作家だと感じますね。
「檸檬」の魅力もやはりアイテムによる鮮烈なインパクトによるものに思えます。
書評から作家論へずれてきたのでこのくらいで。 -
青空文庫アプリダウンロード後、一番最初に読んだ作品。
有名な一説だけれど、こんなに短い作品だとは思わなかった。
でもやっぱり梶井基次郎好きだなあ。何が好きって、彼の文章が。特に精神的にささくれ立ってる時に読むと最高ですね!
醜いもの+美しい(と言われている)もの=美しい!
醜さ、おぞましさが美しいものに生命を吹き込む。白々しい美しさから生きている美しさになる。
人間も、無菌室で育った純白潔癖な存在だったら美しくはないだろうな。 -
気色悪い想像をして憂鬱になることでしか心が満たされない性癖、ですかね
桜の樹の下には屍体が、石油のような光を放つ渓間の正体はウスバカゲロウの屍体が、美しいものをなすものの裏に醜いものがある、そんなとこかね -
有名な書き出し部分しか知らないので、この季節に読んでみた。二回繰り返して読んだ。短編小説ということだが、ほとんど「詩」だ。
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有名なあの文。これをモチーフにしたものを読んだり見たりしたに違いないと思うが、なぜか知っていた有名な文。
「桜の樹の下には死体が埋まっている」
美しいものの裏には何かある――
そんな怖さを綴ったちょっと狂っているのでは?とも思うような内容。
でも、美しいものの根底には何かあるんだ、と
思ってしまうのもなんとなくわかる気もして。
怖さをはらんだ短編。 -
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」の一文が
あまりにも有名になっている作品をようやく読んだ。
桜の美しさ、散っていくときの儚さ、
それは日本人の死生観と通ずるものがあるのだろうか?
そんなこと考えながら読んだ。
そして、梶井基次郎の変態性とでもいったらいいのか、
この人はこういった性癖があるのかな? と。
「檸檬」しか読んだことがないので、何とも言えないが、
それが気になってしまった。