虎狩 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 中学の同級生、趙大煥にさそわれて、筆者が朝鮮人の虎狩を見にいくという話。…ですが、虎狩の緊迫感や緊張感よりは、この趙という友人との関係、彼の繊細さや複雑さがメインになっているように思います。

    この趙という子が、実にひねくれているんです。弱くてプライドが高くて、ニヒリスト、というか。で、それが生意気だと上級生に目をつけられる。そこで趙は「強いとか、弱いとかって、どういうことなんだろう……なあ。全く。」とつぶやくんです。泣きながら。

    趙は、決して友達になりたいタイプじゃないし、親近感のわくタイプでもないんですが、彼の「自分が日本人でないこと」をはじめとするコンプレックスが苦々しくて、ちょっとした青春小説を読んだ気持ちになる短編でした。

  • 朝鮮に住んでいた少年時代、友達やその父親らと虎狩に出掛けた時の思い出。友達はかなり癖のある半島人で、彼の奇矯な一面についても語られる。
    趙大煥は、自分を実際以上に見せたいが実力が伴わない為叶わず、でもそれを認めたくないので変に開き直ったり、力のない事に敢えて気付かない振りをしているように思える。これだけ書くとホント始末悪い奴のようだが実際悪い。筆者はそれなりに上手く付き合っているが、語りからは友情とか親愛とかは読み取れない。当時も今も、朝鮮人に対しては何か共通のものがあるのかなという気がする(昔から変わらないと言うべきか)。
    虎狩から暫く経って趙大煥は行方をくらまし、更に時を経て二人は再会するが、ろくに言葉も交わさずあっという間に別れる。そこにも、友人との久し振りの再会に相応と思われる表現はない。本当はお前こいつのこと嫌いなんじゃないの。
    バナナの皮で虎が滑るかもと考えたのには笑った。コントか。

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著者プロフィール

中島敦

一九〇九年(明治四二)、東京・四谷に生まれる。三〇年、東京大学国文学科入学。三三年に卒業し、横浜高等女学校に国語科教師として就職。職の傍ら執筆活動に取り組み、「中央公論」の公募に応じた『虎狩』(一九三四)で作家としての地位を確立。四一年七月、パラオ南洋庁国語編修書記として赴任。持病の喘息と闘いつつ『山月記』『文字禍』『光と風と夢』等の傑作を書き上げる。四二年(昭和十七)、職を辞して作家生活に入ろうとしたが、喘息が重篤となり、同年十二月に夭折。

「2019年 『南洋通信 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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