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大人になるためのリベラルアーツ: 思考演習12題
- 石井洋二郎
- 東京大学出版会 / 2016年2月25日発売
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早くもバズワードのような地位に陥っている気配のある「リベラルアーツ」。瞬間的に消費され尽くしてしまうにはあまりにも高価なワードです。本書は、界隈に溢れるチャラチャラしたリベラルアーツ本とは、一線を画すすぐれた一冊です。
単に教養というようなレベルを超えて、知の涵養が体感できる内容となっています。
各章1つのテーマ(下記参照)に対して、複数の視点から議論を促す設問が設定され、これに学生たちが取り組んでいく様子を実況・考察していく形式です。(実際に行われた講義の記録です。フィクションではありません)
テーマが提示されると、条件反射のように私見が頭に浮かびますが、読み進めるうちにその論の脆弱さが露見していき、自分の浅はかさにがっかりすることの連続でした。こういう経験は、日常生活では得難い大変に有意義なものです。
どこかの章で紹介されたエピソードに、大いに首肯させられるものがありました。
いつも目先のタスクを処理することに追われている企業人にとって、こういった思考のアプローチは、実業界の中に“閉じた”狭い領域での思考から「役に立たない」と糾弾されがちだけれど、その低次の思考をより高次のものへと解放させるのに有用だ。
これはまさにそのとおりで、それこそリベラルアーツ、人間を自由にする学問、なわけです。この講義、参加したいなあ。
教科書として編まれたような体裁をとっていますが、一般読者にとっても決して敷居は高くありませんし、議論の過程は話し言葉で紹介されていますので、大変読みやすいと感じました。ただし内容にはずっしりと重みがあるますので、1章を読むたびにクールダウンが必要かもしれません。
<テーマの一覧>
コピペは不正か/グローバル人材は本当に必要か/福島原発事故は日本固有の問題か/芸術作品に客観的価値はあるか/代理出産は許されるか/飢えた子どもを前に文学は役に立つか/真理は1つか/国民はすべてを知る権利があるか/学問は社会にたいして責任を負わねばならないか/絶対に人を殺してはいけないか/議論によって合意に達することは可能か/差異を乗り越えることは可能か
2017年5月1日
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WIRED VOL.27/科学のゆくえを問う大特集「Before and After Scienceサイエンスのゆくえ」
- CondéNastJapan
- コンデナスト・ジャパン / 2017年2月13日発売
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今月号は少し厚みがあります。
これまで隔月刊でしたが、以降は季刊になるそうです。その分、紙面が増えたということでしょうか。読み応えがありました。
編集が美しいです。
2017年3月3日
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疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)
- 内田樹
- KADOKAWA / 2007年9月25日発売
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まずはじめに、マイナスの点として、タイトルと本編内容が整合しないということが挙げられます。最後まで読んでもどうしてこんなタイトルにしたのかな? という疑問が残ります。私の読解力が不足しているのでしょうか? そうではないような気がしますが。
その点を割り引いたとして、本当に良い一冊でした。目からウロコがボロボロ、という感じでした。普段モヤモヤと感じている何かが、一体どこからくるものなのか、社会が向かっている方向がどんな風に誤っているのか、そういうことが正確な例証とともに論じられています。メディアが吹聴してきたあるべき人間像や推奨されている個性というものが、どれだけ脆くて危ういか、ぞっとするほど的確に指摘されています。
多分この人の骨太な理論の前には、自分が振る舞ってきた見せかけの態度がバラバラと崩されてしまうんじゃないかと思います。それなのに、「それでいいのだよ」と言ってくれるような、不思議な感覚があります。
なんだかよくわ分からないですね。よく分かっていないのかもしれません。分からなくってもいいのかも知れません。いや、ダメか。
2013年12月8日
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武士道 (岩波文庫 青118-1)
- 新渡戸稲造
- 岩波書店 / 1938年10月15日発売
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タイトルからして、根性論が延々展開されのではないかと勘繰り敬遠してきた古典。ところが予想に反して、日本人の精神に根付く武士動の淵源が、するどい洞察によって論理的に解き明かされておりました。
国際的に著名な本書ですが、たぶん読んだことのない人(特に日本人)は相当数いるんじゃないかな、と思います。矢内原氏の翻訳も、おそらく原文の格式を損なわない名訳なのだと思います。
残念ながら、わが国においてこの武士道の精神は希薄になってしまっている気がします。「せめて」先人を知る意味でも、読んでおいて損はないと考えます。
《引用》
(ヨーロッパ人の賛美する) “ 薔薇は桜の単純さを欠いている。さらにまた、薔薇が甘美の下に刺を隠せること、その生命に執着すること強靭にして、時ならず散らんよりもむしろ枝上に朽つるを選び、あたかも死を嫌い恐るるがごとくであること、その華美なる色彩、濃厚なる香気――すべてこれらは桜と著しく異なる特質である。我が桜花はその美の下に刃をも毒をも潜めず、自然の召しのままに何時なりとも生を棄て、その色は華麗ならず、その香りは淡くして人を飽かしめない。およそ色彩形態の美は外観に限られる、それは存在の固定せる性質である。これに反し香気は浮動し、生命の気息のごとく天にのぼる。 ”
2013年7月10日
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反哲学入門 (新潮文庫)
- 木田元
- 新潮社 / 2010年5月28日発売
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タイトルから想像されるような、哲学に対する批判の本ではありません。
でも、哲学者である木田氏が第一章で「(哲学は)社会生活ではなんの役にも立たない」、「人に哲学をすすめることなど、麻薬をすすめることに等しいふるまいだ」、「しかし、哲学という病にとり憑かれた人はもう仕方ありませんから、せめてそういう人たちを少しでも楽に往生させてやろう」、と仰るはおもしろいです。
本の大半は、ソクラテス・プラトン・アリストテレス、デカルト、そしてカント・ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガーと、哲学史に沿ってそれぞれの立ち位置を社会的・宗教的な背景も踏まえつつ紹介していくという流れです。
はっきり言って、一回では内容を飲み込めませんでした。
もう一回読みます。
2011年11月3日
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方法序説 (岩波文庫 青 613-1)
- R.デカルト
- 岩波書店 / 1997年7月16日発売
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丁寧に読んだけれど、十分理解できていない。
ただし先人の哲学を理解しただけではダメだと、デカルト先生は云う。
2012年5月20日
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四国はどこまで入れ換え可能か (新潮文庫)
- 佐藤雅彦
- 新潮社 / 2005年10月28日発売
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くすっと、もちろんきますが、「プチ哲学」同様
これも「こんな見方もありますよ」「こんな風に考えてみましょう」、
という示唆に富んだ良書です。
2011年5月22日