約束された場所で (underground2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2001年7月1日発売)
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2023年4月1日読了。村上春樹が地下鉄サリン事件被害者にインタビューした『アンダーグラウンド』の続編、オウム真理教の信者たちに行ったインタビュー8本と河合隼雄との対談を収録。前作のインタビュイーは62人だったが、教団関係者にコンタクトをとって対談にこぎつけるには相当な労力が必要だったのだろうな…と想像する。著者自身の述懐にもある通り、信者たちは一様にまじめでそれぞれの形で教壇に魅力を感じており(まあ、だから入信したわけだが)「教団のすべてが間違っているわけではない」と考えているのことは、まあその通りだとは思うが、「戦争のすべてが悪いわけではない」みたいな発言のように、特に当事者・関係者としては「そんなことを言う前にやることがあるだろう」という思いが強くなるが、そういうことを彼らに問うても無駄なのだろうなあ…もともと現世に興味がなく解脱を目指した人々に、教義の現実の妥協点・着地点を見いだせ、というのは無理な話。マスコミや一般大衆の無知・いたずらに恐怖をあおるだけの対応は何も生まない、著者のこの試みは小さな取り組みではあるが、日本人・人類にとって有意義なものだったのだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2023年4月1日
読了日 : 2023年4月1日
本棚登録日 : 2023年4月1日

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