湿地

  • 東京創元社 (2012年6月9日発売)
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本棚登録 : 763
感想 : 153
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アイスランド作家によるアイスランドを舞台にした地に足のついた骨太の社会派ミステリ。司馬さんを彷彿とさせる質実剛健なカラリとした文体で淡々と描かれていて読みやすいです。内容に派手さは無く、身近で根深い問題が丁寧に(時には執拗なまでに)細部まで再現されており、自分が体験したことではないのに身につまされるような見事な筆致でした。本国ではこの作品の前に2冊同シリーズが出ているそうですが、日本語で読めるのは文学賞を受賞したこの作品以降からのようです。翻訳者によるアイスランドの歴史と社会の解説と、原作者へのインタビューの抜粋もとても良かったです。主人公エーレンデュルは昔気質の男やもめで、別れた家族と確執を抱え、自身の生い立ちにも悲しい過去があるらしく、これらはシリーズを通したテーマになっているようです。満足して読了しました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ/社会問題
感想投稿日 : 2021年4月2日
読了日 : 2021年3月29日
本棚登録日 : 2021年3月29日

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