早稲田作家処女作集 (講談社文芸文庫)

  • 講談社 (2012年6月9日発売)
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感想 : 1
4

明治、大正、昭和にかけて活躍した早稲田出身作家の処女作を集めたアンソロジーを再編集した一冊。
名前を知っている作者もそうでない作者もいたが、処女作と知っていて読むせいか、まだ初々しさの残る若者が静かな情熱を胸にペンを走らせている横顔が、読みながらちらちらと想像された。
それぞれの作品の後に、作者が自身の処女作をふりかえり、短い感想を記している。皆どこか少し恥ずかしそうでいて、過去の自分をいとおしげに眺めているような、そんな姿勢が印象的だった。「処女作からは逃れられない」と書いた作家もいたが、やはり処女作は特別なものなのだろう。一人の作家の作品を時間軸に沿って一気に読み進めるのも面白いかもしれない。
作品は確固たる完成品、そして文豪達は動かぬ白黒写真、と思い込みがちな私にとって、あのあとがきは良い意味でイメージを覆してくれた。

どの作品も、人間の心の動きの揺れ具合を凝視した作品で(あ、山椒魚が主人公のもあった…笑)非常に面白かったが、なかでも気に入ったのは、
牧野信一「爪」 横光利一「御身」 逸見広「死児を焼く二人」 尾崎一雄「早春の蜜蜂」
だった。暗~くて神経質な話がやはり好みです笑

偉大な先輩達の処女作を読んで、勉強させていただきました!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・詩・短歌
感想投稿日 : 2013年1月5日
読了日 : 2013年1月5日
本棚登録日 : 2013年1月5日

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