230411*読了
残雪さんの「暗夜」含む短編7篇はなんとも不思議だった。
さらっと読んでしまうと到底理解できない。
ご本人も傾倒されているカフカともまた違う。
独特の世界観で、他の誰とも似ていない。
よくある話のようで、絶対にあるはずのないフィクション。
「戦争の悲しみ」はまさにタイトル通り。
悲しすぎる。
戦争は絶対に体験したくないけれど、今も戦争の悲しみを味わっている人がいる。
これは物語だからではなくって、現実にも同じような経験をしてきた人がたくさんいる。
そのことを思うと、とても苦しい。
女性だからこそ、男性に虐げられてしまう苦しみもそう。男性であるが故に戦地に赴き、残虐を身を持って味わってしまうこともそう。
なんて悲しいのだろう。
この二人の作家に共通しているのは、いい意味でのもやもやとした空気感。
中国と、ベトナム、アジア圏の作家さんらしさというのもあるのかもしれない。
「暗夜」はまるで夢の中にいるようなもやもや感、現実のようで現実でない感じが特徴。
「戦争の悲しみ」は過去の追憶が多いからこそ、過去を振り返った時、脳裏に浮かぶもやもやとしていながらも、一部はくっきりと鮮明だったりする、あの記憶。
今、ご存命かは調べていないのだけれど、刊行当時はまだ生きていらっしゃって、文学全集発刊以降にもきっと作品を出されているので、そちらも気になる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年4月11日
- 読了日 : 2023年4月11日
- 本棚登録日 : 2023年4月11日
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