雪に閉ざされ立ち往生した列車内での殺人事件。
クローズド・サークルものの傑作である。
実際にアメリカで起きたリンドバーグ愛児誘拐事件を物語に取り入れている。
事件にかかわる登場人物は多い。
けれどしっかりとキャラクターが描かれているため混乱することなく読むことができた。
1934年に発表された物語とは思えないほど古さを感じない。
豪華寝台列車という舞台設定、予測できない雪のための列車停止。
被害者である男性客の身元が判明してからポアロの冴えわたる推理が開始される。
最終的にポアロはふたつの推理を示し、事件の依頼者である鉄道会社の重役に判断を委ねている。
法が正しく履行されることによって秩序は守られるはずだ。
けれど、法の網をずる賢くくぐり抜けた犯人は誰が裁いてくれるのだろう。
事件の結末にはいろいろな感想があるかもしれない。
けれどこの物語の醍醐味は推理の過程にある。
会話から真実の糸口をみつけ、事件の真相を導き出していくポアロの推理は本当に見事だ。
時代を経ても面白いものはやはり面白い。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2017年3月28日
- 読了日 : 2017年3月28日
- 本棚登録日 : 2017年3月28日
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