さかさま世界史 英雄伝 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2005年3月24日発売)
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本棚登録 : 298
感想 : 19

イソップの寓話は奴隷のユーモアであり、「長いものには巻かれよ、他人の愚かさを利用せよ」といった卑屈なものと喝破。/シャイロックがユダヤ人の守銭奴と言うだけでなじられる、非合理の世界を当たり前のように描くシェイクスピア。貸した金の代償に一塊の人肉を抵当にしたことは、「心もまた、肉の一部である」と言う寓意をはらんでいるように見える、という指摘。また、イスラエルの知人がシェイクスピアを嫌悪しているというエピソードも。/旧約聖書が書かれたから数千年、ダンテが神曲を書いてから600年がたっているのに、地獄の尺度が一度も修正されないのは片手落ち、と。/トロツキーが、独裁者たちの血なまぐさい抑圧に「おまえはただの現在にすぎない」と言ったというエピソード。/繰り返し記される、マヤコフスキーの詩、「もしも心がすべてなら いとしいお金は 何になる?」。毛皮のマリーズなどでも頻繁に引用され、よほど気に入っているのだな、と/また、漫画サンデー増刊「劇画・毛沢東伝」は読んでみたく思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2017年4月15日
読了日 : 2017年5月8日
本棚登録日 : 2017年4月15日

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