社会を変えるには (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2012年8月17日発売)
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こういった理由でこういう社会運動をすれば、みたいな話かと思いきや、まず、その変えようとしている「社会」とは何か、というのを古代ギリシアまで遡って説きはじめ、近現代日本まで丁寧に語り下ろしたあと、ようやく第7章で、こういうやり方もある、ああいうやり方もある、けど万能な理論なんてないから、地域、時代背景、状況などを鑑みて、ケース・バイ・ケースで有効な方法をとるしかないのでは、という至極真っ当な結論に。また、これを鵜呑みにするのではなく、ツールのひとつとして考え、それぞれの問題意識で語り合う際の材料にして欲しい、「すてきな社会、家族、政治は待っていても、とりかえても現れません。自分で作るしかないのです」「社会を変えるには、あなたが変わること。あなたが変わるには、あなたが動くこと」なのだから、と。同じ著者の共著の「平成史」にも手をだしてみたい。/以下、抜粋や要約/原発は経済的に見合わないという認識が先進国では共有される/学生運動全盛時代の学生は自他ともに認めるエリート/第九条、デモ、社民党、共産党が悪いわけではない。「あれは自分たちと関係ない一部の特別な人がやっていることだ」としか考えない、ということが問題/日本の運動は、共同体を基盤にしたものがメインだった/お金や暴力は関係が希薄になってくるところに、関係の代役として入り込む/団塊の世代のうち学生運動に参加したのは4%/デモが社会を変えるときは、社会の大多数が、自分の声を代弁してくれる、とデモに対して思ったとき/盛り上がるというのは「みんな」「われわれ」をつくるということ/デュルケムの「自殺論」/近代社会はどんどん関係をお金に変えて走っている社会/人間は何か「自己を超えたもの」とつながっていないと生きづらい/ベンサム:人間の快楽感受能力は等しい。どんな人間も一人として数えると主張したこと。王様の快楽が農民より優先される、ということはありません/人びとが「自由」になり、国家と地域社会を束ねる宗教的・理念的な「われわれ」意識が薄れたら、自由かつ平等で安定している、ということはむずかしくなります/ギデンズ:人間はほんらい再帰的な存在。なんらかの対象との関係のなかで、作り作られてゆく存在/エンパワーメント、アクティブ化がこらからの政府や専門家の新しい役割/「社会を変えること」というのは「われわれ」により異なる、「われわれ」がばらばらに乱立しているので、これを変えれば社会が変わるというのが見つけづらい/だれもが共有している「だれもが「自由」になってきた」「誰も自分の言うことを聞いてくれなくなってきた」「自分はないがしろにされている」という感覚、それを変えれば誰にとっても「社会を変える」ことになる、とは言えないでしょうか/

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月18日
読了日 : 2021年11月9日
本棚登録日 : 2021年1月15日

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