愛をひっかけるための釘 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (1995年7月20日発売)
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本棚登録 : 597
感想 : 39

◆タイトルは、フランスかイギリスだかの格言からとった。「女にとって男とは…」という比喩だったと思う、とのこと。恋におち愛し合うことを美しくうたいあげたかと思いきや、女房が質に入るなら絶対「流れる」まで近づかない(編集部へのお願い。この本は事務所あてにお願いします。自宅へは決して送らないでください)…なんで書いちゃうのは時代だなあ、と思ったり。筒井康隆の缶詰時のエピソードにくすりと笑ったり、顔に入れ墨する青年のその何ものをも寄せ付けない孤立に思いを馳せ、全曲が「眠りの予告編」的な静けさに満ちているゴンチチに魅入られ、心に重くのしかかるものがあるときは心の中で「てけてんてんてんてん」と6回唱えると心が軽くなると語る。◆西洋哲学は「フレット」のついた思考(略)しかし考えてみればこれは異常なことなのであって、世界は混沌であり、混沌は混沌のままに受け取られるべきなのだ。それは不安だし勇気のいる作業ではあるけれども。(p.144)には深くうなずく。◆あとがきで、茶道の本「なごみ」から連載依頼されたことを語り、"「作法を存じませんので」と一言。ぐいと茶を飲む。これなら僕にもできる。「作法を存じませんので」と絶叫しながら、いつもの場外乱闘を繰り返すのだ"といった心がまえで連載してたとのこと。その絶叫しているところの絵面を想像してしまって思わず笑ってしまった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月12日
読了日 : 2022年8月11日
本棚登録日 : 2022年8月12日

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