アクアマリン、ガーネット、ムーン・ストーン。時に人をなぐさめ、時に走馬灯のように記憶の奔流を呼び起こし、時に変容のひとときを垣間見せそうで垣間見せぬ。海で行方不明になった息子を探して船医になり世界をめぐった先生、あなたのような作家が持っていたほうがいいからと託してくれた中華料理店店主。そして大量に仕入れたからといって安価に売ってくれた鉱石店主。さまざまな物語を聴き、引き寄せて。◆道道無常道という言葉ね。これはもと老子の言葉ですよ。(略)この世に絶対不変の道、絶対不変の真理などというものはないのだ、というね。しかし、まあ、毎日、ささやかな別天地というものはある、と。だから天天小有天というわけです。p.52◆そして本筋でもなく、作者が使った意味とはきっとずれるけれども、「文献のための文献の、そのまた文献を読みあさり、そしてそういうことがやめられないのである。」(p.144)という一節が深く刺さる。
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- 感想投稿日 : 2024年3月18日
- 読了日 : 2024年3月17日
- 本棚登録日 : 2023年2月4日
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