唐草物語 (河出文庫 し 1-23 澁澤龍彦コレクション)

著者 :
  • 河出書房新社 (1996年2月1日発売)
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感想 : 31

一読、風雅な寓話だなあ、という読後感。そこに諧謔やエロスや残忍さが含まれていたとしても。自分になつく少女を餓死させてしまったウッチェロ(鳥)と呼ばれた画家(鳥と少女)。清衡の生まれ変わりと称するドライバーに案内された平泉(平泉異聞)。ティムールとハーフィズ、ティムールとイブン・ハルドゥーンのひりひりするような対面(盤上遊戯)。セレウコス朝のアンティオコス一世に命じられて、その妃と神殿建設のために三年の旅を命じられた美男の建築家が自分の命を守るために切り落としたものとは(閹人あるいは無実のあかし)。避雷針の押し売りを、雷に打たれて死ぬために売ってくれてといって困らせた話(避雷針屋)。花山院が頭痛するたびに召された安倍晴明が、院の前世、前前世、前前前世の無念を読み解いてその骸骨を丁重に葬ると頭痛が止む話(三つの髑髏)。紀長谷雄が鬼との賭けに勝ってもらいうけた女性といざ、という時に水となり弾けた話(女体消滅)。火山の噴火に好奇心の赴くまま意気揚々と向かっていくプリニウス(火山に死す)。などなど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月15日
読了日 : 2023年2月15日
本棚登録日 : 2023年1月6日

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