禁涙境事件 ”some tragedies of no-tear land”

著者 :
  • 講談社 (2005年1月14日発売)
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本棚登録 : 591
感想 : 43

 ようやく最新作に辿り着いた。帯の煽り文句は『〈事件シリーズ〉最新作! 仮面の戦地調停士の過去がついに明かされる――!?』
 ……EDの過去はどうでもいいな。EDよりレーゼとかフロスとかは出て来ないのか。
 と、読む前からずれたことを考えていたら、初っ端に少しだけフロスが出てきた。けど、ほんと初めだけ。煽り文句どおり、EDが中心。
 形式は、禁涙境と呼ばれる魔法がほとんど使えない地域で過去に起きた不可解な三つの事件(希望街の妊婦殺害・胎児殺害未遂事件、幸運街の殺人鬼路上死、無用街での有力者の暗殺)とつい最近、禁涙境が残酷号に破壊されてしまった事件を振り返る、というもの。それをまとめて、その裏を読む、と。今までのシリーズとは少し違う形で面白い。
 一作目で一番初めに死んだニーガスアンガーが登場したり、ちっちゃいEDとヒースロゥが登場したり(この頃から既にヒースロゥは化け物じみて強かった)、名前だけムガンドゥ三世が出てきたり、双子の戦地調停士の弟だけ出てきたり。ある意味オールキャスト。ただ、次回作に続くようなキャラクタも出て来てる。
 魔法がつかえない場所で起こった事件(過去三つは)だから、今回は魔法による殺害じゃない。(物理的な)トリックがあったのは一つ目だけで、二つ目、三つ目はそういう謎を楽しむものじゃない。それぞれを合わせて、さらにその禁涙境を作った男が殺された事件もあわせ、裏を引いていた人物がいて、と。
 なんだか色々交錯しててややこしい。一番よく分からなかったのは、EDが何をあんなに怒っていたのかってこと。別に分かる必要もないし、むしろ分かられては困るのかもしれないけど。
「その人を知りたいなら、その人が何に対し怒っているのかを知れば良い」って、どこかで聞いた台詞を思い出した。
 『ついに明かされる』ってほど明かされてはないよね、EDの過去。昔からヒースロゥと仲良しだってことくらいしか。

05.01.17

読書状況:積読 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ・ホラー
感想投稿日 : 2013年1月1日
本棚登録日 : 2011年1月22日

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