私自身の見えない徴

  • KADOKAWA (2006年3月1日発売)
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本棚登録 : 182
感想 : 23

以前、映画で見てなんだか不思議で心惹かれる話だなあ、と思っていたら、学生さんが読書感想文を書いていて、これはもう運命かと思って読んだ本(大げさ・・・)。
この、痛々しく不器用な人たちが生きている感じ、こういう感じが心にひとかけらもない人や理解できない人とは友だちになれない、と思った。
昨今はポジティブシンキングとか、前向きとかがもてはやされていて、私自身も相当な楽天家ではあるのだけれど、本当は、そればかりで生きていけるはずないんです。傷ついている自分や、嘘つきな自分、乱高下する感情に蓋をしたり、全部克服しようとしたりしないで、もっとそっと付き合って行くことの方が自然で、大切なんだと思う。
このお話は、最終的に、色んなことが宙ぶらりんで、色んな問題は解決せず、少しだけ明るい兆しが出て終わる。これでよかった。変にハッピーエンドだったら台無しになる。という、繊細で、読み終わったあとに少しずつ振り返ってみたくなる本でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読書記録
感想投稿日 : 2013年9月28日
読了日 : 2013年9月26日
本棚登録日 : 2013年9月28日

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