少しだけ、おともだち

著者 :
  • 筑摩書房 (2012年10月25日発売)
2.80
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本棚登録 : 248
感想 : 44

女の友情ってコワい・・とはよく言われることだけど、
うん、幼稚園児だろうが職場内だろうが主婦仲間だろうが、
そこにヒエラルキーが存在しちゃうことは多い・・・と思う。

自分がそれぞれの集団内で一番楽な位置にいられて、
その人たちが好き&おしゃべりが楽しいならいいはずなんだけど、
そこが難しい、というか、
自分が常に「上」でいたいと思ったり、そう思う人が存在したりするとそれもちょっとしんどいかな。
“親友”という言葉にこだわりたいタイプだと尚更ね。

そんな友だち関係を、重箱の隅を突っつくみたいに(これは褒めてるんですよ。ホントです。(*^_^*))あれこれディテイルにこだわって読ませてくれる短編集・「少しだけ、おともだち」。
前半は、負荷のようにチリっとくる友だちとのやりとりが痛くて、
それだったらつきあわなきゃいいんじゃないの?と言いたくなるけど
そんな相手に、どこか引っ張られる自分がいたり、
なぜか相手から好かれちゃってたり(組み易しと思われてたり、なんて言うと、私の性格が悪いのがバレてしまうけど)
狭い空間内で一緒にいれば話もするよね、という間柄もあって、
一概に、ばっさり切ってしhまえばいいよ、と言えないお話になっているのが
朝倉さんの上手いところ、なんでしょう。

ただ、じゃあ、好きな話か?と言われると、
そのチリチリ感は結構苦手だったりするのだけど、
後半に出てきた「C女魂」が実に面白いんですよ!

偏差値的には市内でかなり低めのC女子高の2年松組に、
ボランティア同好会が創設され、中心となる活動はなんと「ベルマーク運動」という…。
うん、これはかなりの波乱含みだよ、と
血が騒いでしまったのだけど 
同じ2年生のクラスである竹組との格差の話(同じ学年には2クラスしかないという設定)が、妙にリアリティがあり、これはもしかしたら笑うところなのかもしれないけど、同性としてはそれよりも、うんうん、わかるよ、という切なさが迫ってきて、でも、やっぱり可笑しかったりもするところが面白かったです。

つまり、お勉強が上手ではない、という点では同じ苦い思いをしてきた彼女たちなのに、なまじ、学校が進学に色気を出したものだから、松組はその中では真面目に勉強する子、竹組は“私生活をエンジョイする”子、つまり地味組と派手組、モテない組とモテる組、という意味合い。

それが来年から男女共学になる、ということでまたまた偏差値アップを図る学校。
それに対しての二つの組の反応が実に面白哀しいのだけど、松組は
「うちらがだめだから、と反射的に思った。うちらがだめだから、学校はいろいろ方策を講じるのだ。
それまでの努力を否定された気がした。とくに努力をしてきたわけでもないのにそう感じた。」なんてあたりが、コツンと胸に来たんだよね。

そして、そこからなんでベルマーク??となるわけなのだけど、
先生や竹組、他学年まで巻き込んでのうねりとなっていく様が非常に上手い!!これ以上書くとネタバレになる&ちょっと長くなって息切れしたのでここでやめますが、とっても好きなお話でした。(*^_^*)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年12月11日
読了日 : 2012年12月11日
本棚登録日 : 2012年12月11日

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