さて第4巻、文庫版の8冊目にしていよいよユリウス・カエサルの登場だ。ジュリアス・シーザーといったほうがなじみ深いが、ここは紀元前のローマ、やはりカエサルでなくてはならない。そのカエサルの物語は2巻にわたり文庫版でも6冊もある。その前半部はルビコン川を渡るまでのガリア戦役を描く。いやあ強い。ローマの物語でありながらその舞台はフランスを中心とした西ヨーロッパ主要部で、ゲルマンとの戦いではライン川の東までも及び、取って返してイギリス上陸すらしているのだから、すごい行動範囲。まさにヨーロッパの歴史がここから始まったといっても過言ではない。ヨーロッパの父だな。そしてあまりに強く民衆の人気も高いがゆえに、元老院からは憎まれて失脚を計られるというのも、どこかできいた話だ。ところで、大半を占める戦争描写も胸がすくものだが、前半部の最後におかれた腹心のラビエヌスが離脱してポンペイウス側に奔るシーンがとても印象的だ。古代ローマでも義理と人情では義理が重いんだ。
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2024年1月30日
- 読了日 : 2024年1月26日
- 本棚登録日 : 2024年1月30日
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