読書状況 読み終わった [2012年10月19日]
カテゴリ 小説

粋でいなせな江戸の人々の生活についてつづった本です。挿絵も著者によるもので暖かい絵柄であることもあいまって、江戸のぎすぎすしない雰囲気が伝わってきました。
美人像の変遷とか、かぶきものや普通の江戸っ子の様子など絵と文章とでとてもくわしく楽しく書かれていて、江戸時代の話を描くときの参考にと思って読み始めたのですが、資料本としてだけでなく、読み物としても十分に楽しい本でした。

2010年8月9日

読書状況 読み終わった [2010年8月9日]
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序章で、物語の終着地がどこに行くのかはわかってしまいます。まぁ、歴史小説なのでちょっと歴史に詳しければ、登場人物個人のできごとはともかく、歴史上に残ったできごとに関してはわかってしまうはずなので、そんなに気になりませんでした。
それよりも、一見頼りなげな春海がどのようにして、序章の部分にまでたどり着くのかが楽しみでわくわくしながら読みました。
天文や算学の部分は、そっちに興味がない方だと読むのが面倒になるかも?

2010年7月2日

読書状況 読み終わった [2010年7月2日]
カテゴリ 小説

江戸の大店の若だんな・一太郎と妖(あやかし)の物語・第三弾。
今度は,病弱な若だんながいきなり丈夫になったり,別の話では,突然,放蕩をやらかしてみようと言い出したりとびっくりさせてくれます。

放蕩をやらかすのは,若だんな本人ですが,基本的には若だんなたちは,自分たちが事件を巻き起こすというよりも,周囲で起きた事件に巻き込まれたり,解決を頼まれたりというほうが多いようです。
たしかに,「一日に朝昼晩と別の病で死にかける」ほど病弱な若だんなでは,自分から事件を起こすというわけにはいかないのかもしれません。解決するときも,若だんな自身が何かを調べにいったりということは少なくて,ほとんど仲の良い妖たちに頼んでいます。妖たちも,若だんなの役に立つのが純粋に好きだったり,若だんなからもらえるご馳走が嬉しかったりで若だんなと仲良くやっています。

そんな妖のなかでも,体が小さくて,あんまり頭もよくない。だけど,好奇心だけはいっぱいの鳴家(やなり)がお気に入りです♪若だんなも,鳴家は人目にはうつらないためか、袂に入れていったりと,よくお供につれあるいて(というか,もってあるいて)います。
見えないはずの鳴家が見えているような描写がある人物がいて,あれ?と思って読んでいたら,間違いではなく,きちんと筋道がたっていたという話もありました。

また,「ぬしさまへ」では,仁吉が主役の話がありましたが,今回は,佐助の話があります。最初は,いつもの話かな?と思うのですが,やはり端々がおかしくて……最後になって,納得,ということになりました。
この調子で,他の妖の話も読んでみたいけれど,仁吉や佐助ほどは強くない=長く生きていないから,そんなに話はないかなあ。

2007年8月28日

江戸の大店の若旦那・一太郎と妖(あやかし)たちの物語の第二弾です。
今回は、短編集で一太郎以外の者が主人公の話もあり、バラエティに富んだ内容になっています。時系列的にも、「しゃばけ」重なるものがあったり、そのあとかな?と思われるのもあったりして、いろいろ。

全体を通じて、とくに主人公側の人たちは、優しくてまじめな…「まっとうな」生き方をしています。だから、出てくる話で人が死んだりしても、なんとなく優しくふんわりとした印象を受けました。
ふんわりとした感じを受けるのは、江戸言葉というのか登場人物たちの言葉づかいが柔らかいためかもしれません。「しゃばけ」でも気になっていましたが「~だよ」とか、男性が自分のことを「あたし」と言ったりするのが、特徴的に感じました。特徴的と言っても悪い意味ではなくて、全体に柔らかい印象になる、ということです。

言い方は柔らかくても、それぞれに主義主張や心根は筋が通った人たちがでてきます。その中でやはり目につくのは、主人公の一太郎。病弱で寝付いていることも多いのに、頭もまわるし、気が強い…というのとは違うけれど、きっちり物を考えて行動にうつし、事件を解決していく。そんな一太郎と、周りの人々、妖(あやかし)たちのやりとりがなんとも楽しいです。

いくつかの話のなかで一番気に入ったのは「空のビードロ」でした。ほとんど一太郎は出てこないんだけれど、彼の優しさと明るさが透き通って届いたんじゃないかなぁと思った話でした。

2007年8月21日

 江戸時代の通町(江戸・日本橋の近く)、体の弱い若だんなと彼をとりまく妖(あやかし)たちの物語。
 病がちで友人は、近所の菓子屋の後つぎだけという若だんな・一太郎。育ての親というか、(実の親は健在)間近でいっしょに過ごしている手代二人は、妖、しかも、どうも身分の高い妖らしい。と、いうのは、妖が見える一太郎の周りには、小妖怪がちょろちょろするのだけれど、彼らはみんな手代二人に一目置いている様子。
 そんな一太郎が、禁じられている夜歩きをして帰り道に人殺しに出くわしたところから話ははじまります。

 シリーズものなのかな、一連におもしろそうなタイトルの本を出しているな~、と気になっていたら、今年は賞をとってしまった。そこで、というわけではないけれど、たぶんこれが1冊目?というのを読んでみました。
 江戸時代の風俗や、豪商の若だんなを含めた人々の言葉づかいなどがゆったりしていて、全体に余裕を感じます。江戸時代を舞台とした小説は、けっこう読んでいるけれど、ここまでみんな若だんな風に「~だよ」「~ねえ」とかって話す人がたくさん出てくる本は初めてです。最初は、手代までそんな風に話すので違和感を感じたのですが、豪商となると、手代も余裕があるのかなぁ。それとも妖だから、なんだか感覚が違うのかなぁなどと考えました。
 話におもしろみを加えているのが、その妖のずれっぷり。若だんなが大切で、とにかく彼を守ろうとする手代二人。二人とも、妖が人間に化けて手代として働いていて、その働きぶりも立派なのですが、端々で、人間の感覚とのずれがでてきて、苦笑するやら危ういやら。若だんなといっしょに「あれあれ」という気分になります。

 のんびりとした雰囲気はありますが、ことは人殺しが関わってくるので、状況は緊迫していきます。そのなかで、“箱入り息子”として育った一太郎が出す決断がみごとです。 シリーズものだとしたら、この一太郎のその後が読めるのでしょうか。同じ作者の別の本も読んでみたいと思います。

2007年8月6日

読書状況 読み終わった [2007年8月6日]
カテゴリ 小説
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