Iターン (文春文庫 ふ 35-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年2月8日発売)
3.63
  • (21)
  • (51)
  • (56)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 375
感想 : 43
3

「Iターン」
熱演中。


ムロツヨシ熱演中のIターン。ムロツヨシのキャラクター的にぴったしだと思っていたところ、原作は結構キツイ。とにかく狛江が不憫なのだ。コメディ要素がもっとあるかと思っていたが(これもムロツヨシが主演だから、と言うバイアス)、親会社も支店も取引先も妻も、ヤクザに絡まれる前段階からかなりキビィ。不憫過ぎる。広告業は潰しが効かないとか考える前に、絶対やめるべきだ。と何度思ったことか。なんじゃ、これは〜!である。


しかし、本丸の竜崎と岩切である。これはあかん。狛江はよくぞ頑張ったと言える。確かに、狛江は狛江なりに、ちゃんとすべき点があった。でも、怖いのは怖い。と言うか、一番やばいのは土沼印刷。取引先としてやば過ぎる。Q市とはこれほどやばいのかを示している。絶対、辞める笑。


生き地獄に陥った男のI(自分)ターンとは?を問うテーマが狛江の肩にかかっている。人生後半、どうやって自分を取り戻すか。それを体現している。本来あるべき姿を無視する会社。下っ端にミスを押し付ける、嫌がらせをするお偉い方・上司。そんな理不尽な環境を変えることを諦めてしまっていた自分。


しかし、それがなんだと反旗を振りかざす狛江。普通はこんな遣り方じゃないはずなのに、ヤクザに絡まれたことで火事場の馬鹿力が発揮されるのだ。めちゃくちゃ絶望的なとこに放り込まれた唯一の功名だろうか。にしても、絶対に嫌だな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年8月5日
読了日 : 2019年8月5日
本棚登録日 : 2018年12月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする