わたしは英国王に給仕した (河出文庫 フ 17-1)

  • 河出書房新社 (2019年3月6日発売)
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感想 : 12

【G1000/29冊目】チェコがナチスドイツの占領下にあった時代。あるホテルの給仕見習いは、客の釣り銭をごまかす等して貯めたお金を使って周りの人がドイツ人を疎ましく思っている中、彼は資本主義の荒波に乗り、ドイツ人に取り入ることによってまたたく間に百万長者となり、自分のホテルをも持つことになりますが、チェコ人にとってはドイツ人に取り入って成り上がった彼を良く思っていませんでしたが、成功者であることには間違いありませんでした。
しかし、戦争が終わり、共産主義であるチェコスロバキア共和国が再び立ち上がった時、彼の手元には何一つ残されていませんでした。そんな中、誰も来ない辺境で晩年を過ごすことになった彼は改めて自分を見つめ直すことができ、本当に生きることの価値を見出すことになったのではないでしょうか。「これからする話を聞いて欲しいんだ」という言葉は読者のみならず、鏡に写った自分に聞かせたい物語なのかも知れません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: かーの本棚
感想投稿日 : 2020年4月19日
読了日 : 2020年4月19日
本棚登録日 : 2020年4月19日

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