戦争の激化に伴い、双子は祖母の家に預けられる。
ケチで不潔、粗暴な彼女の元で
双子は悲観にくれることなく
自身の鍛錬にいそしみ、労働を覚え、生き延びていく。
この作品内に個々の感情は吐露されることなく、
淡々と、発せられた言葉、行動がつづられている。
双子は鍛錬を通して、絶対的な精神の強さ、冷酷さを得る。
歪んだ性の描写、不潔な暮らし、戦争がもたらした破壊、死、
歴史的事実に基づく社会の揺らぎ
あらゆるインパクトのある題材を用いながら
冷徹な文章を貫くことで、奇妙で薄暗い人々の陰、残虐性を感じた。
双子の名前すら明かされることなく、どちらの発言、行動なのかも
明言されることはない。
個々を没することで一心同体となり、超越したものとなる。
神を信じない、というスタンスの作品を近頃読むことが多い。
どの作品でも、自分自身の鍛錬がより必要になり、
ストイックに生きていくことを選ぶ。
神に頼ることなく自分に課していく。
死に物狂いに精錬されたものは強い。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年10月20日
- 読了日 : 2011年10月20日
- 本棚登録日 : 2011年10月20日
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