ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言

  • KADOKAWA (2019年12月27日発売)
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感想 : 170
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精神科医で、認知症の第一人者であり、自身も晩年に認知症を発症した、長谷川和夫氏の著作。

 なんとなく「闘病記めいたもの」や、「周囲にどうして欲しいかを詳細に綴った日記」を予想していたのですが、少し違いました。
 内容としては、
 ・認知症の概要
 ・長谷川式スケール開発話
 ・認知症の歴史
 ・社会福祉のあり方について
 などについて綴られています。

 専門家としての知識をベースに自身の体験を踏まえて語られる内容ではありますが、どちらかといえば認知症の現在置かれている状況、社会的に不足している問題点や、これから何をしていけるか、といったことに重点が絞られています。
 医師ということもあって、感情の描写もさっぱり簡潔にまとめられているため、当事者の心理的な部分の印象は薄めだと感じました。
 認知症の方と接する際の心構え的なことは書かれているものの、当事者の視点から認知症を(感情面も踏まえて)深く理解したいのであれば、他の闘病記の方が参考になるかもしれません。
 一方で、長谷川氏の功績や認知症の歴史などについて知るということであれば、お勧めできる本だと思います。
 当事者となってからも、専門家として情熱を持ち、研究を続けられているところ、本当に素晴らしい方だったのだなと感じました。
 (長谷川和夫氏は2021年11月13日に92歳で逝去されています)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: レビュー済
感想投稿日 : 2022年8月4日
読了日 : 2022年8月4日
本棚登録日 : 2022年8月2日

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