読み終わって、なんでもっと早く読まなかったんだろうかと思った。
自然淘汰の単位を種や群れではなく、遺伝子という視点からとらえて説明した歴史的な名著。
生物の行動や進化を遺伝子が生き残るという視点でとらえて、納得のいく説明をしてくれている。
よく本書に対して、道徳や倫理への冒涜かのようや批判を聞いたことがあるけれど、
そもそも、本書は道徳に対してなんらかの意見を加えるものではないことは、筆者自身が冒頭をはじめて、繰り返し述べられている。
本書の妙は、道徳とは関係のないところで、遺伝子の視点から人間を含めたすべての生物の進化を見ているところにあると思う。
本書を読み終えて思うのは、進化という歴史の中で、遺伝子がバリエーションを持って、様々な環境を経て、その中で生き残ってきた今があることのすばらしさだと思う。
生物学だけでなく、ゲーム理論からの影響を受けて、利他性の説明をしている章や、今やネットでは普通に使われる「ミーム」という言葉を提案している章など、社会科学とのつながりもある本なので、本当に読んでいておもしろかった。
読みやすい本なので、読んだことのない人は、抵抗を持たずに読んでほしい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
A:学術(に近い)
- 感想投稿日 : 2023年7月19日
- 読了日 : 2023年6月27日
- 本棚登録日 : 2023年6月1日
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