アメリカン・ゴッズ 上

  • KADOKAWA (2009年3月1日発売)
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本棚登録 : 145
感想 : 14
5

舞台は現代アメリカ。
かつての移民たちは、故郷の神々をアメリカの地に連れて来た。神々は今、信仰を失いかけた古き神として、人間に紛れ細々と暮らしている。
シャドウの前に現れた男ウェンズデイは、そうした神様の一人として、“新たな神々”に立ち向かおうとしていた。

個人的に、ゲイマン作品は明るいユーモアとブラックユーモアが絶妙に織り交ざっていると言うか、無糖コーヒーで作ったカフェオレを飲むような感じだと思っている。
本作もそんな感じだった。

「聖☆おにいさん」なんかもそうだが、神様が人間社会に溶け込んで生活してる設定が好きだ。
アメリカには人種の数だけ神様が居て、信仰を勝ち取ろうと躍起になっている。神様だって生きるのに必死。
その姿は痛ましくもあり、ユーモラスでもあり、愛おしくも思える。

神話好きな人は思わずニヤリとしてしまう描写ばかり。
平凡な人間のシャドウを取り巻くのは、北欧神話やエジプト神話、ヒンドゥー教の神様、レプラコーンやピクシーといった超自然の存在。
こういうひとたちが普通に暮らしてても不思議じゃないと思わせるあたり、アメリカって面白い国だよなあ。
日本も似たようなものだけど。

うれしいのは、『アナンシの血脈』に出てきたアナンシが、この本にも登場すること。
(日本では出版順が逆だが、本書に登場するミスター・ナンシーをピックアップしたのが『アナンシ~』)
アナンシ、あいかわらず陽気なオッサンで素敵だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: か行
感想投稿日 : 2011年3月20日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年1月31日

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