哲学入門 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2014年3月5日発売)
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 概説書ではありませんが、しっかり入門書の役割を果たしています。


【目次】
目次 [003-010]

序 これがホントの哲学だ 011
  ありそでなさそでやっぱりあるもの  たとえば「意味」はあるのか、ないのか、と考えてみる  私の唯物論マニフェスト!  哲学的「課題」ってちょっと厄介  第一の戦略――これが存在もどきの正体だ!  還元主義ではうまくいかない  第二の戦略――存在もどきは観点に応じて現れる  第三の戦略-人生に必要なものはすべてバクテリアの頃からもっていた!  この本は、意外に本格的なのだ  哲学にできること、できないこと

第1章 意 味 035
  哲学はどう始めるかが大事  チューリング・テスト  精神分析医型プログラム・イライザ  「知能をもつ振り」はできるか 意味の理解」がないじゃないか!  中国語の部屋  サールの議論に反論してみる  サールの再批判に反論してみる(その一)  サールの再批判に反論してみる(その二)  ロボットでもダメだよというサールの議論  なぜロボットは心をもたないように思えるのか  ロボットに心をもたせるために  生存の目的をもつロポットだけが「意味」を理解する  後半の課題  認知科学は認知をどうとらえているか  問題の立て直し作業  解釈者なしの意味  因果意味論  目的論的意味論  目的論的意味論への批判に答えてみる

第2章 機 能 107
  本章の問いはデカイぜ  ありそでなさそな機能  ビッグな存在もどきとしての機能  〈いまそこにないもの〉 へのかかわり  「機能」の起源論的説明とそれへの反論  ミリカンは反論にどう答えたか  概念分析って何か  概念分析と分析哲学への疑問  実験哲学のインパクト  哲学の仕事は概念をつくることだ  哲学はことがらそのものを探究する(べきだ)  ミリカンの定義は機能の概念をつくっている  「本来の機能」の射程は長い 機能カテゴリーって何だ?  統合的な説明が科学において果たす役割  起源論的説明vs. 因果役割的説明  ミリカンの逆襲  「本来の機能」概念の理論的目標

第3章 情 報 139
  解読者を前提しない情報  情報概念の多義性と曖昧さ  「情報とは何か」とは何かを先に問うべき  三つの情報概念とその関係づけという課題  本章でやること  シャノンの情報理論をおさらいする  通信システムの定義  現代風の情報量とエントロピーの定義  シャノン自身は情報理論をどう展開したか  シャノンたちのアイディアの新しさ  通信と関係なしに使える情報の概念  ドレツキの仕事の目標  情報量の理論から情報内容の理論をつくらねば  エキヴォケーション――情報量の理論から情報内容の理論をつくるための準備  ゼロックス原理――情報内容の定義に向けての最終準備  ゼロックス原理から情報内容の定義が満たすべき要件を導く  情報内容の定義が満たすべき要件  いよいよ情報内容を定義する  情報の入れ子構造  情報Aはどうなった  因果と情報の流れ  意味の素が手に入った

第4章 表 象 193
  「いいとこ取り」はダサイかもしれんが、哲学の大事な仕事  志向性とは何か  本章で行うことをきちんと述べると  志向的記号と自然的記号  ドレツキの「自然的情報」の概念は、生きものの役に立たない!  生きものに有用なのは「局地的情報」だ!  ただの偶然の一致よりは強く、普遍法則よりは緩い「つながり」  局地的反復自然記号  自然な準拠領域  志向的記号と自然的記号はどういう関係か①――ドレッキ批判を手がかりに考えるく  カンのドレツキ批判  記号の消費者も考えろ  志向的記号の定義をやり直せ!  志向的記号と自然的記号はどういう関係か②――思ったより厄介な両者の関係  ドレツキとミリカンは目標は同じだが、アプローチが異なる  記号生産メカニズムの本来の機能は、真なる表象を生み出すこと  志向性の謎は解けたか

第5章 目 的 233
  間違うことのできる表象をもつ利点とは  人はどうして「目的手段推論」を身につけたのか、という問い  生きものの認知デザインの進化を考える枠組み  オシツオサレツ表象  「オシツオサレツ表象」と「アフォーダンス」  Bアフォーダンス  オシツオサレツ動物にはできないこと、そしてなぜできないのか  どうすれば実現できるのかわからない目的を、人はもつことができる  記述的表象と指令的表象の分離への第一歩!  もう二種類の準事実的表象  目的状態表象が完全に分化しているってどういうことか  目標が実現されるように行動を調整し導く表象  信念の分化  わがはいはポパー型生物である  シミュレーションに不可欠なのはどんな表象か  逆問題とタスク分析  ホンマもんの目的手段推論  ホンマもんの目的手段推論の特徴  目的手段推論は、他の能力の進化の副産物?――(その一)他者の心を理解する能力  目的手段推論は、他の能力の進化の副産物?――(その二)  言語の運用能力  人間は拡張機能のついたオシツオサレツ動物だ

第6章 自 由 289
  石やカエルには自由はないが、われわれには自由がある……!?  「自由意志はあるのか」がなぜ問題になってきたのか  ラプラスのデモン  メカニズム決定論  決定論と自由の問題をめぐるいくつかの立場  デネットの両立論とその特徴  「行為者因果」としての自由意志?  自由意志の脱神話化あるいはデフレ政策  自由意志概念の二つの構成要素  量子力学の確率的法則は自由意志の助けになるか  自己コントロールとしての自由  決定論は自己コントロールの障害ではない  自然法則に従うことは、何かに「コントロール」されることではない  因果と理由  人間の自由と原始的な生きものの自由  「反省的検討」は因果的世界で意味をもつか  他行為可能性  「決定されている」ということは「不可避的」ということとは違う  他のようにもすることのできた能力  もつに値する「自由」

第7章 道 徳 339
  「はやぶさ」がエライのか?  道徳的に重要な自由意志 言語を介した反省的思考は自己づくりを可能にする  自己づくりがなぜ自由と関係するのか  自己づくりは徐々に進む  「自己」はどのようにして現れたのか 「自己」は物語からできている  責任ある意志的行為  責任があるから自由意志がある?  責任をとるという実践は、どのように進化したのか  協力の進化が自己づくりのルーツになった  コミュニケーションの進化が助けてくれた  デネットへの不満  もしも「自由」が幻想にすぎないとわかったら  ペレブームのハードボイルド路線  自由と責任がなくなったら道徳はどうなる?  帰結主義は無傷で残る  他に残るものはあるだろうか?   ハード決定論は犯罪者をどう扱いうるのか  罰はどう正当化されるのか  隔離説は正当化されるか?  犯罪者を「治療」する  もしも科学が人間の自己コントロール能力の脆さを証明してしまったら  自由意志なき世界はディストピアか

人生の意味――むすびにかえて 397
  すべては決定されているんだから、人生に意味なんてないよ  「意志的努力」の価値  俺たちただの進化の産物だし、その生に究極目的なんてあるわけないもんね  人生は、短めの目的手段連鎖の集まりである  この大宇宙の中で、ちっぽけな僕らの生に意味なんてあるのでしょうか……  なぜ人生が無意味に思えるのか  アイロニカルな笑みをたたえ、ジタバタ生きる――デフレ的な人生の意味

参照文献と読書案内 [413-439]
あとがきまたは謝辞または挑戦状(二〇一四年二月 戸田山和久) [440-446]

読書状況:積読 公開設定:公開
カテゴリ: 130.西洋哲学
感想投稿日 : 2019年1月25日
本棚登録日 : 2015年1月2日

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