エイミー・ベンダーの長編。
設定こそ不思議世界ではないけれど、短篇の雰囲気はそのままに長いひとつの物語になっている。
ジョハリの窓のようだ。
知っていること、知らないこと、伝わらないこと、伝わってしまうこと。
舞台はどこにでもありそうな、どこでもない地味な小さな町。
主人公はさみしさに浸食されている。数字に取り憑かれた女の子。
色あせた家、青い瞳、青い硝子、白い石鹸、白い煙。
主人公は混乱しているけれど文章は明晰だから、こちらまで不安定になる。
奇矯な行動の普通さがわかってしまって心がぎゅうぎゅうする。
進んで、また戻って、いったりきたりしながら読んだ。
わからないからじゃなくて、わかりたいから。
この時点でわかっていることは、別の地点から見たものとは違う。
この人好きだ。
訳者解説は全然私の解釈と違うので的外れに思える。
これは親子とか、自分とか、そういう話だと思うんだけどな。
おまけの「11の質問」もどういう意図でこの質問を出したのかさっぱりわからない。
ここを破り捨てれば素敵な本になる。
斧が出てきたのでアゴタ・クリストフの『どちらでもいい』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4152087331が頭に浮かんだ。
これを好きな人は多分この本も好きだと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
フィクション/翻訳
- 感想投稿日 : 2014年5月29日
- 読了日 : 2014年5月29日
- 本棚登録日 : 2014年5月29日
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