緩やかでいながら緻密な構成と反復されるモチーフとイメージ。詩的な表現。一章ごとに異なる文学様式。この世の醜悪さ(<欲望>や<うわべ>)を「はらわた」をつかみ出すように描きつつぐいぐいと読ませる筆致。途轍もないものを読んだ。世界の秘密の表象ってマチスモなのかな。そういう意味ではボラーニョはプイグに近いんじゃないだろうか。第4章の描き方や、全体として登場する魅力的な女性たちの強さ、主要な男性登場人物(批評家の中ではモリーニ)の描き方からもそう感じられる。それにしてもこの読後感をとうてい言葉で表すことは難しい。それでも、手元にはもうこれと『地図と領土』があればいいかもという気がしないではない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2014年5月25日
- 読了日 : 2014年5月25日
- 本棚登録日 : 2014年5月25日
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