かなり長い間積んでいた本です。
『世界は文学でできている』には『戦争と平和』がお薦めされていましたが、手元にあったこちらを読むことにしました。
この物語はオブロンスキー家の主のオブロンスキー34歳が七人の子持ちでありながら家庭教師の女性と浮気をします。一つ年下の妻のドリイの末妹のキチイはコンスタンチン・リョーヴィンに求婚されますが、ヴロンスキーに恋しているためにそれを拒絶してしまいます。
オブロンスキーの実妹のカレーニン夫人(アンナ)はオブロンスキー家を訪ねてきますが、列車の中で知り合った婦人の息子であるヴロンスキーと一目で恋に落ちます。
アンナはオブロンスキー家に滞在しキチイと親交を深めますが、キチイの気持ちに気づきます。
ヴロンスキーの求愛にキチイの気持ちを知り、アンナは身を引こうとしますが、二人は当然のようになさぬ仲になってしまいます。
リョーヴィンはうちひしがれ、作家の兄を訪ねます。キチイも結核にかかり、田舎へ行って療養します。
アンナとヴロンスキーの仲を知ったカレーニンはアンナを問い詰め、アンナは真実を告白してしまいます。
カレーニンは社会的体面を保とうとします。
そしてアンナはヴロンスキーの子どもを妊娠してしまいます。
キチイは療養先でワーレンカという友人ができて気持ちが明るくなり、ロシアの我が家へ帰ってきます。
作家の池澤夏樹さんが他の本で「この小説が正にメロドラマだ」とおっしゃっていますが、「メロドラマ大いに結構」と思いました。アンナは本当に美しく、ヴロンスキーは凄いイケメンです。アンナとヴロンスキーの二人の場面が、カレーニンは愛のない結婚をアンナとした悪役なのでハラハラしてしまいます。
アンナとヴロンスキーの出会いの場面は本当に素敵でうっとりしてしまいました。
二人の会話も現代のドラマより格調高い会話で本当にうっとりとしてしまいます。
P376より
<あの連中は幸福とはなにかということなんか、てんでわかっちゃいないのだ。あの連中には、ぼくたちはこの恋がなくちゃ、幸福もなければ、不幸もない、いや、生活そのものがないってことが、わからないんだからなあ>
P391より
「あたしはね、飢えた人がお腹いっぱい食べさせてもらったみたいなものね。そりゃ、その人は寒いかもしれませんよ。服もぼろぼろに破れているかもしれませんし、恥ずかしいかもわかりません。でも、その人は不幸ではありませんわ。あたしが不幸ですって?いいえ、ねえ、これこそあたしの幸福ですわ」
中巻に続く
- 感想投稿日 : 2021年3月9日
- 読了日 : 2021年3月9日
- 本棚登録日 : 2021年3月9日
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