そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 80)

  • 早川書房 (2003年10月1日発売)
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1年以上前に芦田愛菜さんの「まなの本棚」に刺激されて読みたいと思っていた本です。
外国の小説は苦手でほとんど読んでいないので、初アガサ・クリスティーでした。

あまりにも有名な本なので、(少し言いたいことはあるのですが)内容に関するレビューはしないことにします。

これは、2010年発行の青木久恵さんによる新訳版の前のものです。
今でも、こちらを選んで読む人はいるのではないでしょうか。

背表紙は全く同じなので、背表紙だけでは新訳版とこの旧訳版の見分けはつきません。
古本屋で買う時も、図書館で借りる時も、翻訳者を確認してください。

1939年の英国での原本初版のタイトルは、“Ten Little Niggers”でした。
‘Nigger’が差別用語ということで、1940年の米国での初版では“And Then There Were None”と改題されています。
だから日本語版のタイトルは「そして誰もいなくなった」なのですね。

原文の‘nigger’が‘indian’に改められたので、1964年の米ペーパーバック版では“Ten Little Indians”というタイトルも用いられたことがあるらしいです。
ところが‘Indian’も差別用語になったので'Soldier boy'に再度改められています。

このため青木久恵さんの新訳版でも、「インディアン」は「兵隊さん」になっています。
本書では、インディアンが使われていますし、黒人を卑下するような表現も残っています。

本書とは関係ないですが、MLBのクリーブランド・インディアンスも今年(2022年)からクリーブランド・ガーディアンズになりました。
小説に限らず、いろいろと表現に気を使わなければいけない時代になりましたね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 - 外国
感想投稿日 : 2022年1月10日
読了日 : 2022年1月10日
本棚登録日 : 2021年12月16日

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