三人寄れば、物語のことを

  • 青土社 (2014年12月19日発売)
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本棚登録 : 481
感想 : 48
4

自分の好きな作家さんたちが、自分の好きな作品について語りあっているなんて、読者にとってしあわせな本。

語り合うのを読んでいると、その物語をまた読みたくなる。
「八王子に行くのが怖くなった(RDG)」なんでだったかな?

印象に残ったところ。

p22荻原
負い切れない力を負ってしまって四苦八苦する主人公というのは、ある意味、誰もが子供から大人になるときに経験していること。自我よりも大きなものを手に入れようとして、足掻くときが必ずある。けれど、それは、みんながやってあることだよ、ということを書いてあるのかもしれない。

p37上橋
寓話はつくらない、自分が語りたい何かのために、器として物語をセッティングする感覚が苦手。

p40-41上橋
子どもの頃にはわからなかった物語、であっても、子どもが読んではいけないわけではない。私は子どもの頃から濫読だったから、そういう本、たくさん読んできましたよ。あるとき、前にはわからなかったことが、ふっと、実感としてわかるようになって、ああ、そうか、経験ってこういうことか、と思ったりね。

p59上橋
もし、自分が本当に辛い状況にあったら、ファンタジーなんか読みたくないって思うのだろうか、と考えてみたんです。(略)ファンタジーというものがもつ、「ほかの世界を想像し、そこに生きてしまえる力」が、独特の助けになるような気がするんです。そこで一生懸命生きて帰ってきたとき、「これしかない」と思っていた今の現実、行き止まりだ、と思っていたところに、別な可能性が見える。

p62上橋
肯定を必死に考えて物語を紡いであるような感覚

63荻原
一言も触れないから伝わることってありますよね。(略)自分とは全く違う生き方や考え方が出てくるお話の中から、自分で受け取って構築するものだと思っていたのね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年6月7日
読了日 : 2022年6月7日
本棚登録日 : 2022年6月7日

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