林芙美子、吉屋信子、永井荷風の女中が描かれた作品を下敷きにした小説。元女中で今や老婆となっている主人公が昔をふり返って語るというスタイルだけど、主人公の語り口とかたくましい生き方とか林芙美子っぽいなあと思った。
下敷きとなっている作品を読んでなくともおもしろく読めたけど、永井荷風の「女中のはなし」を下敷きにした「文士のはなし」がいちばんおもしろかったかな。永井荷風を読んでみたくなった。
そして解説がすばらしい、というか、解説がなければおもしろさが半分くらいしかわからなかったかも。
短い作品を読んだときにわたしはいつも言ってる気がしなくもないけど、もっと長かったらよかったのに、とか思った。主人公が今、秋葉原のメイドカフェに通っているという凝った設定にわざわざするんだったら、もっとその現代を舞台に話が広がっていたらよかったのに、と。あと、昭和初期から日本が戦争へ進んでいく時代背景ももっとたっぷりわかりやすく描かれていたらよかったのに、とも。(ハイ、わたしは行間を読んで考えるより、説明たっぷりのくどい話を読むのがわたしは好きです。)
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年5月31日
- 読了日 : 2013年5月31日
- 本棚登録日 : 2013年5月31日
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