最初の数ページを読んだところで、突然文章がぶちっと切れて白い行が1行。うわっ、乱丁?落丁?なんか校正のミス??いやいやわざと?と思いつつさらに数ページ読むと、今度は同じ文章が二度続いてまた白い行が。絶対に乱丁かなにかミスでしょ??と思い、そしたら新しい本に変えてもらってから読もう、と思って本をとじたわけで。ツイッターでも騒いで本当にバカなわたし。で、なぜかその夜ふと夜中に目を覚まして考えごとしていて、あ、あれはミスなんかじゃない、あれで正しいのだ、とふっと理解した。
ぶちっと切れていたのは、登場人物が読んでいる本の文章なんだけど、つまり、登場人物が意識を本から離したところでぶちっと切れ、眠かったりして何度も同じ行を読んだとき、同じ文章がくり返されているという。
最初からすっとわからなかったわたしは本当に馬韓なんだろう。だれも、ミス?とか思ってないみたいだ。
でも、え?と一瞬思わせるっていうしかけなんだろう。。。
しかけにまんまとひっかかったから言うわけじゃないけど、うーん、わたしはこの登場人物が読んでいる本(劇中劇じゃなくて、なに? 本中本?)をそれほどおもしろいと思えなかったような。北欧だかロシアだかのミステリみたいなのと、南米だか暑いところのミステリみたいな話だけど。それが全体の何分の一かわからないけど(適当にいうと五分の一くらいに感じたけど)それを読まされるより、本編をもっと読みたかったかも。
ストーリーは、なにかできごとがあるわけでもなく、中年のいろんな立場の人たちが、淡々と、連綿と、いろんな自分の人生を生きていっている、というような感じで、いかにも江國さんといったふう。なにも解決とかしないし。どうして?と思うことの理由もわからないまま。とらえどころがないというか。嫌いじゃないけど。やっぱり、江國さんの文章自体をわたしは好きなんだなと思う。
本を読んでばかりいる稔は50歳で、膨大な遺産があるので働かなくてよくて、いつも本の世界に入っていて、他人に興味がなくて冷たいように見えるのに、わりにまわりに人がいて、かまってもらえて、世捨て人のようになっていないのが不思議というか。うらやましいというか。どうしてなんだろうとか思ったり。あと、なんというか、反省とか後悔がなさそう、こんなふうに本読んでばっかりでどうなんだろう?っていうのがないのもうらやましいというか。
(うーん、江國さんは、なんですかね、好きなように生きる、っていうのがいつもテーマなんですかね。。。)
(どうでもいいけど、同世代なんだけど、どうもやっぱりバブル期っぽいというか、浅野温子とかゆう子とか出てきそうな気がして…)
- 感想投稿日 : 2017年2月23日
- 読了日 : 2017年2月22日
- 本棚登録日 : 2017年2月23日
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