2008年頃の少し古い本。理系っぽい立場のお爺さん二人が、それっぽく地球温暖化を皮肉りながらも、あれやこれや対談。本文で触れられる通り、二酸化炭素問題派も地球温暖化否定派もデータを示せずに議論するために、それっぽさしかない。それっぽさ、というのは、局所的な一部の解法による正しさの主張であり、「温室効果ガスが増えれば温暖化になる」という主論同様に、彼らが用いる反論も「雲が増える事が寒冷化に効果あり」とか「カラスが都会のゴミを餌にするから、東京湾の富栄養化が避けられる」とか、立証なき発想のみである。
それでも、その発想が面白い。残存資源を二酸化炭素換算するとどうなるのか、水を揚力で水力エネルギーとして備蓄しておけとか、食品ロス3割が問題でありフードマイレージを導入してはどうか、温暖化の被害を受けた国を各国で支援する方が安上がり、とか。
隠居みたいな二人で、現役のデータを示さないが、そもそも現役のデータも不十分で恣意的。ならば、こうした多様な着眼点を示す書の方が、よほど視界を広げてくれるという意味で有益な書だと思う。虫好きの二人。自然の変化には敏感で、今の流れには黙っていられないと。最後に一言、養老先生。こんな本出して、新潮社はどういうつもりだよ、と。
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- 感想投稿日 : 2022年7月28日
- 読了日 : 2022年7月28日
- 本棚登録日 : 2022年7月28日
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