冒頭からして、粗暴で洗練さを欠く服役者の登場で思わず仰け反った。
殺人者であり、いかにも底辺臭がプンプンするので、やれやれ大変な物語に足を踏み入れていまったな、とやや後悔しながら読み進めた。
瑞々しく小ぢんまりとした日本には無い、乾いて熱くて広大なアメリカの大地の強風が読む者を打ちのめす。
情景描写は活動写真のように眼前に広がり、わびさびを感じさせる確かな筆致が心を惹きつける。
お金、権利、人の思いを蔑ろにした法律、などが幅をきかせる以前の人間が、いかに温かく生活と心を紡いでいたかを思い知らされる。
現代の我々は何か大事物を置き去りにして、文明を便利さを手に入れてしまったのではないかと首を傾げたくなる。
下巻もボリュームのある紙数だけれど、推して読み進めたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月10日
- 読了日 : 2022年9月10日
- 本棚登録日 : 2022年8月17日
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