今まで何度か頁を捲ってみたもののピンと来なかったのに、今何故か急に沁みこんで来て読了。めちゃくちゃ面白いじゃないか!
主人公と歯抜けのハンサム、リー・メロン、ふたりの美女、気狂い社長。この4人が酔っ払ったり抱き合ったりラリったりしながら過ごす数日間のできごと。ストーリーらしいストーリーは無い。ラストもあって無きがごとし。夢のような日々に、卵の殻に無数のひびが入ったように終わる。186,000のひびの数だけの終わりがある。楽しかった日々を夢見ながら、何度も終わりをやり直す。その全てを、半分魂がずれてしまったように眺めている「わたし」。
ボケ倒しのように続くジョーク、ブローティガン独特の美しい比喩(本当になんでこんな喩えを思いつくのかと舌を巻く)、隅々まで控えめに行き渡っているやさしさと寂しさ……。読みながら、ここしばらくない位くつろいだ気分の自分がいた。ブローティガンは、やっぱり私の親友だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
詩集
- 感想投稿日 : 2014年10月18日
- 読了日 : 2014年10月17日
- 本棚登録日 : 2014年10月18日
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