いまさら翼といわれても

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本棚登録 : 1830
レビュー : 258
著者 :
シスターさん  未設定  読み終わった 

古典部シリーズ6作目。
「箱の中の欠落」「鏡には映らない」「連峰は晴れているか」「わたしたちの伝説の一冊」「長い休日」「いまさら翼といわれても」の6編を収録。

久しぶりの古典シリーズ新作。
いつものように「日常の謎」を解いていく短編集。
読者に小さな驚きを投げかけて、登場人物たちの感情を丁寧にすくいとりながらゆっくり物語を収束させていく流れのお話が多かったです。

今回は古典部メンバー4人のそれぞれの過去や新たな出発を描いていて、「変化」がテーマとなっています。
奉太郎が省エネ体質になったきっかけ、摩耶花の『まんが道』の模索、里志のデータベース型思考からの脱却、千反田のある変化。
奉太郎も初期のころに比べると、人を傷付けないために推理し、他人を気遣いながらそれを伝えていることに成長を感じさせます。

「わたしたちの伝説の一冊」は摩耶花メインのお話ですが、ほろ苦い読後感が多い米澤作品にしては前向きでさわやかな読後感がとてもよかったです。
より広い世界へ飛び出すことを、苦しみながらも決断した彼女の強い意志は尊い!
彼女の新たなスタートに、拍手喝采して見送りたいですねー。

一番印象的なのは表題作の「いまさら翼といわれても」。

ここではある古典部メンバーの突然の状況の変化について語られています。
高校生とはいえ、彼らはまだ社会に出ていないただの子どもなのですね。
彼女は、自由に自分で将来を決められないことでの反感や諦めもあったでしょうが、そんな思いを抱く時期はとうに過ぎ、すでに家を継ぐ清新な決意を固めていたと思います。
将来を決められていた彼女は選択の自由がなかったけども、同時に迷いもなかったでしょう。
なのに、突然梯子をはずされた彼女の驚きと喪失感を思うとやるせなくなります。
途方に暮れてしまいますよね。
制約がなくなり選択肢が広くなると、却って選べなくなっちゃいそうです。

青春らしい悩みにどう決着をつけるのか、彼女の決心は次巻まで持ち越し。
早く次が読みたい。

レビュー投稿日
2017年5月25日
読了日
2017年5月20日
本棚登録日
2017年5月22日
2
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