国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2007年10月30日発売)
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 正確にいうと、佐藤優さんが入っていたのは拘置所で、刑務所ではありません。刑務所と違って、労働の時間がないので、長く入っていると逆に苦しいだろうなと思いました。自分で本を読んだりなんかして、時間を作れる人でないと。



 担当検事の西村さんが、佐藤優さんの言うがままに、大量の資料や本を読みこみ、自宅に帰る時間もない有様は同情を禁じえません(笑)。また、佐藤さんの教師気質は昔からあるんだなあと思いました。

 この本では、佐藤さんもまだ毒気が抜けておらず、こんなこと書いちゃっていいの?記述がちらほら見受けられます。

 あと、個人的に感銘をうけたのは、新築の東京拘置所でお隣になった三十一号室の終身刑の方の生きざまでした。歌人になった方がおられるということは聞いていました。

同氏著『メンタルの強化書』内で述べられていた、上品な人のための処世術の内容は、この方を念頭に書かれたもののように思えます。

・仕事の優先順位をきっちり考える。
・身の回りの整理
・仕事のシンプル化
・人間関係のシンプル化
・歴史を知る

・睡眠の質
・健康に投資する
・習い事(幅広い価値観に触れる)
・宗教
・田舎に住む
・手作りの共同体
・高校の同窓生

 三十一号室のかたは運動時間にはきちんと運動し、朝も部屋で体操をなさっていたとか。見習うべきだと思いました。



 著者の見立てでは、本件国策捜査は、「「公平分配モデル」から「傾斜分配モデル」へ、「国際協調的愛国主義」から「排外主義的ナショナリズム」へという現在日本で進行している国家路線転換を促進する」ことを意図して行われた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 刑務所
感想投稿日 : 2022年2月7日
読了日 : 2022年2月7日
本棚登録日 : 2022年2月6日

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