貧しき人びと (新潮文庫)

  • 新潮社 (1969年6月24日発売)
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本棚登録 : 1442
感想 : 117
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処女作にしてこの内容は、さすが世界の大文豪だと思った。
マカール・ジェーブシキンとワルワーラの貧しい暮らしぶりが痛いほどに伝わってくる。
「たとえどんな寒い日でも、わたしなら外套も着ず、靴もはかないで歩いても、平気です。わたしはなんでも我慢し、辛抱します。わたしは平ちゃらです。どうせわたしは平凡でつまらない人間ですから。でも、世間の人はなんというでしょう?…靴というものは、わたしの名誉と体面を保つために必要なものであって、穴だらけの靴をはいていれば、そのどちらも失ってしまうわけです」
毎日パンを買うだけのほんの少しのお金があればこの2人なら必ず幸せになれるのに…と思うと、彼らの境遇にいたたまれない思いがする。
互いを思いやる気持ちがとても美しい。
他のドストエフスキー作品に比べてかなり読みやすいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年5月27日
読了日 : 2007年12月31日
本棚登録日 : 2020年5月27日

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