カントの批判哲学 (ちくま学芸文庫 ト 7-3)

  • 筑摩書房 (2008年1月9日発売)
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感想 : 10
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ジル・ドゥルーズによるカント批判哲学の解体と再構成の試み。ドゥルーズの哲学史的著作の評判は、伝え聞く所では非常に悪い(あまりにも独自の解釈が目立つ)が、しかしこの著作はカント哲学の平明な教科書としても読むことが可能である。もちろん、諸能力が本性上異なるのになぜ働きにおいて一致するのか、というドゥルーズ独自の問いは、カントの著作を素直に読む限りではおそらく出てこない問題ではある。しかし、カントが、主観における物自体として、認識し得ないものとして措定した「こころSeele」もまた規定しうるものなのではないか、と考えたのは何もドゥルーズだけではなく、ドイツ観念論の哲学者みながそう考えたのである。その点で、ドゥルーズの問いは哲学史の伝統に則した問いであると言えよう。そしてドゥルーズの出した解答がその後のドゥルーズ哲学にどのような要素を孕ませることになったかについては、訳者による詳細な解説が参考になる。カンティアンにもドゥルージアンにも読んで貰いたい良著。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年4月13日
読了日 : 2013年4月13日
本棚登録日 : 2013年4月13日

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