月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)

  • 早川書房 (2010年3月15日発売)
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感想 : 173
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ジャケ買いならぬタイトル買い。
原題→邦題はだいたいセンスの無い感じになることが多いイメージだが、これは逆。
流刑地となっていた月。そこの住人が自我を持った計算機と起こした独立のための革命のお話。
自我を持った計算機とはなんとも情報系の人間に嬉しい設定である。

序盤で物語の鍵である自我を持った計算機であるマイクが、実は女ではないか(機械に性別というのもアレな話だが)というくだりがあり、かつこのタイトルであるのでこれは…と思ったのだがそういう結末ではなかった。

このくだりについてはそこまで重要ではなかったようだが、終盤で計算能力を確保するために、リソースを要する会話はしばらく控えてくれないかと主人公に言うマイクだが、通話は繋げておいてくれと言い、最終的には「そばにいて」なんて言い出すのである。なんともいじらしいではないか。

AIと言うと、無性別もしくは男性的なイメージがあるが、完全な偏見・イメージであり、この世界でいつか開発される自我を持った計算機ももしかしたら女性性を持っているかもしれないのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年8月2日
読了日 : 2014年8月2日
本棚登録日 : 2014年8月2日

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