戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2002年3月19日発売)
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本棚登録 : 967
感想 : 70

政治意識の変遷を実証的に検証しながら、戦争を受け入れる論理がどのように形成されていったのかを解明する意図で書かれており中々の力作。政治意識に関しては主に新聞史料を用いているが、選択した新聞論調がメジャーかどうかはわからないので(結構マイナーな新聞も取り上げている)、あくまでも著者の選択という事になってしまうのだが、歴史研究とはそもそも研究者による選択の結果でしかないので、これはこれで仕方がないのかもしれない。基本的には政治意識というよりも政治史・外交史・軍事史がメインとなっている印象だが、戦争とは「自国が正義である(敵国は悪である)」という大義名分をいかに作り上げて、国民がそれをどのように受け入れて納得・支持するのかがいかに重要であるかという事がわかる良著である。
気になるのは平凡な題名で、おまけに「東大式」という安っぽい副題をつけてしまったのは、硬派な内容を的確に表現しているとは言えず失敗だったのではないかとも思えるのだが、結構売れてるようなので出版社的には成功だったのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月22日
読了日 : 2020年7月22日
本棚登録日 : 2018年8月10日

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