遠い水平線 (白水Uブックス 115 海外小説の誘惑)

  • 白水社 (1996年8月1日発売)
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感想 : 25
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死体置き場で働く男が、なぜか興味を惹かれた身元不明の若い男の死体。誰に頼まれたわけでもないのに俄か素人探偵となった主人公スピーノは死体の身元調査を始める。新聞記者の友人に時折入れる報告の電話、いくつかの手がかりを元に追跡していくうちに探偵ごっこの探偵はミイラとりがミイラになるように何かに巻き込まれていく。しかし待ち合わせの相手はいつも現れない。

明確なオチはないし、結局死体の正体もわからない。手がかりを追って転々と移動する主人公の旅(狭い範囲だけれど)、どこかの時点でひとつに重なってしまったかのような死体と主人公の行動。しかし死体は死んでいて、主人公は生きている。作者の意図は難解といえば難解だけど、文章自体はすらすら読めてしまってあっけないほど。イタリアの小さな港町の路地から路地へ迷路の中へ迷い込んでいくような感覚は心地よかった。須賀敦子の翻訳はいいですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ★イタリア・ローマ
感想投稿日 : 2016年9月19日
読了日 : 2016年9月19日
本棚登録日 : 2016年9月19日

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