初めてのアシモフ。アシモフといえば漫画「バーナード嬢曰く。」で、「トリビアの泉で『アシモフによると人間は無用な知識が増えることで快感を感じることができる唯一の動物である』って言ってるけどアシモフそんなこと言ってない!」って町田さわ子に言われてたな、という印象。あと正確にはアシモフではなくアジモフと発音するらしい。つい最近もジャンプ+の読切で見かけた“ロボット三原則”で有名になった一作。
一人のロボット心理学者がインタビュー形式で過去を振り返る構造になっていて、短編集のように“ロボットと人間”というテーマをもとに各々独立した話をしている...かと思いきや、先に出ていたキャラクターが違う話で再登場することもある。最近読んだ本の中ではめちゃめちゃおもしろかった。書かれたのが70年前ということもあって、ロボット三原則に対して「それあり得るかねえ???」と突っ込みたくなる部分もありつつも、ロボットを中心に巻き起こる事件を三原則から推理していく謎解き要素があるので、読んでいて先が気になる。テクノロジーの発想に多少の古さは感じつつもそこまで色あせて見えない。
もしロボットが酔っぱらったら...もしロボットが人の心を読むことが出来たら...もしロボットが市長に出馬したら...と藤子F不二雄の某ドラえもんを思わせるIfストーリーとそれに巻き込まれ右往左往する人間たちがおもしろおかしい。「完全にロボットの方が一枚上手やんけ」って話が多くて、自分で頑張って作ったはずのものが自分の手を出て行ってしまう、みたいな感覚がジョジョ6部の『引力と運命』の話みたいで痛快。
個人的には一番最初の話の、少女と言葉を話さない子守ロボット(まさに喋らないドラえもん)の話がかわいらしくて好きだったのと、人の心を読むことが出来るロボット、ハーヴィーに翻弄される博士たちの話が切ないし笑えるし残酷で、短いながらもとても濃厚で面白かった。
- 感想投稿日 : 2022年8月3日
- 読了日 : 2022年8月3日
- 本棚登録日 : 2022年8月3日
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