村上春樹、河合隼雄に会いにいく

  • 岩波書店
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000022217

感想・レビュー・書評

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  • ★★★★日本では「個性を大事にしましょう」と先生達が言いながら、個人の自由がなく、皆一緒でベタベタで個性がない。皆が集まる時に一人行かないと、付き合いが悪い奴となる。アメリカでは個性が大事なのは当たり前だから、わざわざ教えるものでもない。

  • 文庫で何度も読んできたけれども、今回はこちらで。今更ながらの「アンダーグラウンド」「約束された場所で」の読後なので癒してもらおうかと。でも今回は癒しよりも、新たな課題を与えられた気分・・・と言った感じで、何度読んでも違う示唆やテーマに出会える素晴らしい対談集。河合先生のご著書や他の方との対談も何冊か読んだけれど、村上春樹との対談でこそ本領発揮という印象。

  • やっぱ違うよな
    ちょっと違うよな
    わたしと

    泉鏡花も
    村上春樹も
    源氏物語も
    大江健三郎も
    読まなきゃなと(改めて)思った

    知らないことは多すぎる
    そりゃ歴史はよかれわるかれ
    (この場合何が善で悪かっていうのはアレだよ、いつもの)
    積み重ねなんだよ
    これまでの末端の20年そこら生きているだけなんやもん
    過去なんてでっかすぎて
    生きているうちにぼちぼちある程度
    知ろうとかって果てしない作業なんだよ

    オウムだってなあ
    遠いよなあ

    正直いうと河合さんは知らない

    箱庭と
    まま残っている戦場と
    かかわりとかかわりのなさと

  • 98031

    小説と精神医療という両面から、心の癒しの問題を探る。註釈が読みにくいのが難。

  •  <反抗について>
     「反抗しようにももう反抗すべきものがそこにはもう残っていない」という村上春樹の言葉は、現代の若者が聞いてもなんら違和感のないことだと思う。土居先生の『甘えの構造』で引用されていた「戦う現代青年の心理」に克明に描かれていた若者の有様から大きな変化が完了形で起こったとはいえない。いまだ変化の途上にあるように思う。

     昔の若者は簡単に反抗することができた。なぜかというと、「体制」として存在しているものの反対、すなわち「反体制」という形をとればよかったからである。かつては、「反体制」陣営にコミットメントすることが、(例えそれが大いなる幻想であったにせよ)成熟への触媒たりえたのだと思う。しかし現代において、そんなわかりやすい形の体制・反体制などもはや存在しない。またその図式でコミットメントしたとしても文字通り雲を掴むような感触しか得られないだろう。したがって、他にどういう回路がありえるかというと、体制の裏返しの反抗ではなく、村上春樹のように「ほとんど何もないところに、自分の手でなんとか道を拓いて、僕なりの文学スタイル、生活スタイルを築き上げて」いくというものだ。これは価値観の多様化などという単純な言葉で片付けられるほど簡単な問題ではないと思う。もっと上部構造と下部構造のダイナミズムの中で生じた複雑な表象である。と・・・。まとまりつかなくなったのでこのあたりで筆をおこう。

  • 再読。1995年の対談ですが、今読んでも新しい。この対談で予感されている「暴力の時代」が、とうとう2011年に訪れたことを実感します。福島第一原発事故以降、自分の中にある暴力性を常に意識せざるを得なくなっています。やり取りの表面はスムーズで、するするっと読めますが、実はとても深いことを(しかもお互いが勝手に)話しているのだということも、今回の再読で改めて実感しました。

  • 最近の河合氏の本を読んだので、久しぶりに読み返してみたけど…奥付からすると15年ぶりくらい? しかし、ここで話されている内容は、「物語と人について」など、普遍的なことも多い。オウムなど当時の事象に則した話も出てきているが、それらを踏まえて、日本はどのように変わったのか? そして、未曾有の震災が起き、さらに変わろうとしている日本を、この2人はどう受け止めているのか。残念ながら河合氏はもうなくなってしまったが、氏ならどのように思うか、何をしたかを考えながら読了。

  • アメリカに渡り5年近く物語を書いてきた村上春樹が、ねじまき鳥クロニクルを生んだあと日本に戻り河合隼雄と語り合う、自分と社会の関係性、つながりのあり方(コミットメント)と、人間の心と身体のありかた。前半はより村上春樹の小説について、後半は河合隼雄の心理療法によっている。

    ポツポツと心を打つものがある。
    95年の本だが、15年を過ぎた今の若者にもまだ通じるものがあるのではないか。

    親世代のイデオロギー的なコミットメントの敗北と空気からいきおいデタッチメントに傾倒する若者、
    個性や自由と言いながら、場への同化と無言の強要を求める日本という特殊な国家民族。

    震災、原発事故以降の日本の状況を見ているとなんら変わっていないのだなと感じる。
    反体制としての原発反対、菅政権批判に見えるという反発、自粛や不謹慎といった言葉が行なった非国民狩り。

    村上春樹の「井戸を掘る」行為、河合隼雄の説く「静かで深いコミットメント」が果たして自分には出来るのだろうか。

    :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    雑感メモ

    現代の女性のコミットメントのあり方と比較されるように出てくる紫式部。
    紫式部が、社会システムの外にある女性であったからこそ源氏物語が書けた、これからの女性もそうありえる、という河合隼雄の説。時間も金もまあ有り、出世や蓄財に興味がない?
    うーん。
    男性と異なるコミットメントになるのは確かだが、だから自由とは到底思えない。

    偶然と因果律。偶然が作り出すのでは無く、必然になって行く物語。伏線回収があるはずで、でてきた拳銃は打たれる世界である小説と、だから現実は異なる。

  • 世の中には村上春樹の解説本がごまんとあるが、もし、買ってしまっていたらすぐにブックオフに持って行きなさい。
    この方がよっぽど、村上作品(特にねじまき鳥クロニクル)をより深く知ることができます。

    さらに、それだけでなく、二人の哲学(暴力についてなど)も面白い。
    文のレイアウトの構造から言っても、何度も読んで理解を深めていきたい一冊。

  • 河合隼雄さんすきになった

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