村上春樹、河合隼雄に会いにいく

  • 岩波書店
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000022217

感想・レビュー・書評

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  • 10年以上前の本ですが、個人的に、いま向かわなければならない問題についての示唆がありました。

  • ねじまき鳥クロニクルのモヤモヤがすっきりした。暴力性の存在意義と生理的に暴力を忌み嫌う自分の感情のでどころみたいなものが ハッキリした。

  • 2010/08/17 読了

  • 村上春樹の本は読んだ事ないけど、河合隼雄さんに興味があったので読んでみた。始めは小説と心理学の共通点がわからずに読み始めたけど、「小説を書く事は癒しである」ということは、発見だった。やっぱり、人は何かを表現して、外に出す事で、自分を認めて癒している、臨床美術に共通するものだと発見できたのが大きかった。

  • 微妙・・・。
    分かりにくいというか,う~ん。

  • 地下鉄サリン事件・・・深いです。

  • 二人の対談。
    対談文を、二人が後日解説するフットプリントが興味深い。

  • 小説家と心理療法家の対談<br /><br />生と死、物語、暴力などのテーマをそれぞれの切り口で話している<br />もともと口下手な二人(らしい)が引き出しあった話の数々が、<br />新しい視点を与えてくれた<br /><br />95年の対談ということもあり、<br />サリン事件とねじまき鳥クロニクルの話が多かったのも印象的<br /><br /><br /><br />------------------------------------------------------------------------------------<br />今の若い人たちも、(中略)頭だけでなく、自分の全存在をコミットさせることを学ぶ必要があります。<br /><br />村上春樹 p15<br /><br /><br /><br />日本の人生相談の回答は「ウン、ウン」とうなずいてあげるか、それとも叱ってやるかどっちかなんですね。あまりロジカルに、これはこうで、これはこうだから、こうしなさいというのは相談者自身あまり求めてないんでしょうか。<br /><br />村上春樹 p34<br /><br /><br /><br />僕はむしろ、自分の中にどのようなメッセージがあるのかを探し出すために小説を書いているような気がします。<br /><br />村上春樹 p66<br /><br /><br /><br />素朴な話を評価する基準は何なのかが問題なのだと思います。<br /><br />大人どもから見れば、まさに「稚拙」に見える物語が、どれほど深い意味を持っているかを示そうとしたつもりです。<br /><br />河合隼雄 p76<br /><br /><br /><br />「つくりばなし」というのは体が入ってないのですね、頭だけでつくっている。そんなものには読者もあまりついてこない。<br /><br />村上春樹 p102<br /><br /><br /><br />作品というのは作者をどこかで超えていないとおもしろくないはずですね。<br /><br />河合隼雄 p118<br /><br /><br /><br />科学に縛られて、つまり、因果的に説明可能なことしか起こってはならないとか、そんなばかなことはないんです。実際に僕が遭遇している現実では偶然ということが多いんですよ。<br /><br />河合隼雄 p126<br /><br /><br /><br />ぼくは「あなたのいっていることは正しい、とのとおりだろうけども、人間は正しいことばかりして生きておられない。ぼくは残念ながら、その正しいことができない」と。その人がまちがっているとはけっして言わない。<br /><br />河合隼雄 p140<br /><br /><br /><br />人間だけは自分が死ぬということをすごく早くから知っていて、自分が死ぬということを、自分の人生観の中に取り入れて生きていかなければいけない。それはある意味では病んでいるのですね。<br /><br />河合隼雄 p164<br /><br /><br /><br />自分の持っている暴力性を一度も体験せずに育ったりする。<br /><br />やはり小さいときから経験がなさすぎるということではないでしょうか。<br /><br />河合隼雄 p170<br /><br /><br /><br />暴力性をどういう表現に持っていけばいいのか、いまの若者がそこまで気がついてくれるといいんですけれどもね。<br /><br />河合隼雄 p177<br /><br /><br /><br />ぼくが日本の社会を見て思うのは、痛みというか、苦痛のない正しさは意味のない正しさだということです。<br /><br />だれも世界のしくみに対して最終的な痛みを負っていないという面に関しては、正しくないと思うのです。<br /><br />村上春樹 p180

  • この本は非常によくできてる。
    大人と呼ばれる人はみんな読んでも損はないよ。きっと。

  • 再読。
    村上春樹と河合隼雄との対談集。

    まず「ねじまき鳥クロニクル」を読んでない人には話がついていけなくてつらいと思うので、
    読んでない人にはオススメしない。
    河合隼雄って誰?という人にもオススメしない。

    だが、これは素晴らしい一冊。
    どちらかのファンには是非読んでほしい。
    (私は河合隼雄のファン☆)

    村上春樹の小説をいくつか読んで、
    これは今までに読んだどの小説とも違う、まったく新しい構造をもった小説だという印象を強く持った。
    好きか嫌いかを別にして、世界の最先端にいることをまざまざと感じて、同時代で読めることを素晴らしいことだと思う。
    うまく分析できないが、
    一般的な小説では、時系列で話がつながる、書き方で時系列が前後するトリックを使ったとしても、読み終えたときにひとつにストンとつながって、筋がすっきりして終わる。すべてのエピソードが、その小説のため、あるいは結末に向かって書かれているのが普通だと思う。
    ところが、村上春樹のいくつかの長編では、個々のエピソードが入り組んで確たる目的を持っていないように思え、時系列を超えて話がつながり、なんだかわからないまま終末を迎え、しかもそれがいやらしくない書き方である。
    小説というひとつの絵を見ているのではなく、隠し窓から覗いて、全体を想像するような、
    別の表現であらわすと、虫食い状態のタペストリーを眺めて、これはこの絵だろうと、想像させるように
    読者に能動的に関わらせているように思う。

    そんな風にうだうだと考えていたので、この本を読んで、村上春樹の意図なりが少しわかって、ちょっとスッキリした。

    また、日米の心理療法の違いの話などにからみ、
    「個人」についての日米の考え方の違いとか、コミットメントについての文化差の考察など、村上春樹が非常に深く考えているのだと分かる。

    『ねじまき鳥・・』の中で、主人公がやたらと井戸にこもってるので、何だそれと思っていたのだが、
    夫婦というのは、結婚して幸せになるのではなく、「井戸掘り」をしないといけない。井戸掘りを拒否する人はすぐに離婚してしまう。という話が出て、なんとなく、なるほどな〜と納得する。
    暴力と歴史についての話もあり、小説の中でやたらとしつこく気持ちの悪い暴力的シーンがあったのも、作者の中で書かざるを得ない必然性があったのだなと分かった。

    本の題名から察せられるように、村上春樹のほうが主体的に話をしているので、河合隼雄のファンには少し物足りない気も・・。



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