はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

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  • Amazon.co.jp ・本 (589ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001109818

感想・レビュー・書評

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  • 物語作家にできる、最上級のことを成し遂げた本。

    本というものがどれほどすばらしいものであるかを噛みしめながら、その力強さに驚きながら読むことができる本。

    物語の後半で語られる人生の冒険とこの世の中についての真実もすばらしいが、圧巻なのはやはり前半だろう。

    勇敢な少年アトレーユと、白い幸いの竜フッフールの冒険譚を心躍らせながら読んでいるうちに、主人公バスチアン自身が物語の世界に入り込んでしまうまでが描かれる。
    主人公が物語の世界に飛び込んでしまうという展開はファンタジーの世界ではお馴染みだが、それをこんなにも迫真の筆致で描けるものなのだろうか。まるでそれがバスチアンの話ではなく、自分に起きていることのような気持ちになってしまうのだ。
    アトレーユの話を自分ごとに感じてきてしまうバスチアンの話が次第に次第に自分ごとに感じられてきてしまう。
    また、
    「虚無」に浸蝕される物語の世界を、読み始めの段階では現実世界のメタファーかと思いながら読むが、そのうちにそれは現実世界で起きていることの結果として物語世界が蝕まれていることに気づき、さらに読み進んでいくうちに、その現実世界は物語世界の生き物たちの選択によって変化させられてきていることに気づき、二つの世界のどちらが原因でどちらが結果なのかわからなくなってきてしまう。
    本を読みながら、そういう自分に気づき、戸惑い、そして「はてしない物語」の世界を実感として感知する・・・。
    本を読みながら、そういうことが起こるのが物語の前半部分だ。

    すると、
    >主人公が物語の世界に飛び込んでしまうという展開はファンタジーの世界ではお馴染み
    という事柄についての見方、理解のしかたも変わる。
    それは誰の上にも起きて、この世のあちらこちらでその昔から起きていた事実であり、現実であったし、これからも起き続けなくてはいけない、いや、起こし続けなくてはいけない大切なことだったのだということがわかるのだ。

    ガウディが死してなお、その構想物が人々の手で造り続けられているのと同じように、エンデの書いたこの本を読んだ人々は世界中で物語を語り続けるはずだ。そういうことが起こせる物語のすばらしさ、力強さをこうして書き遺してくれたエンデに感嘆にしながら、心から感謝・・・。

  • 私はこの作品を5年生の時読みました。

    図書室でこの本を見つけた時、すごく魅力的なタイトルで、綺麗な本だなぁと思って、生まれて初めて分厚い本を借りました。

    読んだ時に驚いたのは、以外と読めない漢字がなかったのと、物語に引き込まれてどんどん読めたこと。

    私が物語好きになったキッカケの本です!

  • 持っている本の中で一番の宝物です。
    この本だけは文庫ではなくてハードカバーでなければならないと思う。
    小学生の時にはとにかく大きくてよみづらかったけれど、大人になっても大きいのは変わらなかった^^;
    映画化されたのを見てショックだった覚えがあります。

    私はこの本を読んでから、本を読む時、文字を読むというより映像で浮かぶようになりました。
    (だから映画がショックだったところもあるけど補完されたところも多い)
    小学生の時にはイメージしずらかった「虚無」を今ならどう脳裏に描くだろうとふと気になってまた読みたくなりました。

  • 息子が小学校1年の頃から毎晩読み聞かせした本です。ほぼ1年かけて読みましたが、最後のほうは息子が私に読み聞かせしてくれてました。^^; いろんな国を親子で冒険できました。本当の優しさや勇気を教えてもらえたのは、子どもよりも私のほうかもしれません。

  • 面白かったなあ。物語の構造ゆえに必然となる2色刷りの造本の美しさもあいまって、実に印象深い本です。いまでもかすかに覚えている重要なフレーズがあります。全然正確ではありませんが、こういうことでです……「あっちの国に行けない人がいる。行けるけど行ったきりになる人がいる。まれに、きみのように、行って戻って来れる人がいる。そんな人がこの世界を健やかにする」。激しく同感です。

  • 名訳。ハードカバーで読まなければ意味がない。
    おこがましくて、感想も書けないくらい素晴らしい作品です。エンデ自身も「分析されることを望まない。体験されることを望む(要約)」と言っていました。

  • 私の本棚の最初の一冊。これ以外思い浮かばなかった。
    今は亡き父が、弟の誕生日プレゼントとして買ってきたのだけれど、私のほうが魅力にとりつかれてしまった。
    私はコレアンダーさんの最後のセリフが好きです。
    ファンタージエンに行ける人は、とても幸せでしょう。でも、現実で生きるしかない我々は、帰ってこなければならない。ファンタージエンからもって帰れるのは、たったひとすくいの水だけ。あまりにもちっぽけです。行かなくても同じかもしれません。
    ですが、そのちっぽけな水が、我々にとってどれだけ大事なものかを、レビュアーのみんなはきっと知っているはずです。なぜなら、我々もまた、バスチアンとともに旅をした"バスチアン"なのですから。
    まだ水のことを知らない"バスチアン"のみなさん、どうか一刻も早くこの本を手にとり、旅立ってください。きっと、豊かで刺激的な旅が、あなたを待っています。そうそう、旅立つときは、毛布をかぶって出発するのをお忘れなく。

  • 本当に果てしなかったな!
    ファンタジーってすげー。無から有を生み出すのに、既にある有と結びつくんだもん。しかもちゃんと面白い

    これは子供の時に読みたかった。プレゼントされたら嬉々として読んだだろう。だからといって今が遅いわけじゃない
    てか『モモ』書いた人かい!そりゃおもろいわ!

  • 後半はシリアスでダークなファンタジー。おさなごころの君が時に残酷な「神」のように思えるほど、告知無しであのアウリンの代償(記憶が失われ最後には廃人となる)は厳しすぎる。
    きみは狂っているとアトレーユに言わせ、その手で彼を刺すなど、児童文学と思えないほど酷。
    最後、アトレーユがバスチアンの記憶の代弁者、そしてバスチアンが始めた全ての物語を終わらせる代行者となる。バスチアンが現実に帰れ救われたのは全てアトレーユのおかげ。そのアトレーユの愛は彼も命の泉の水を飲んだから……。そこは生来のものであってほしかった思いもある。
    理不尽に重すぎる代償や、現実世界とファンタージエンの相互作用についてなど、若干世界観や設定に腑に落ちない点あるが、それを差し引いても流石の名作。娯楽としても道徳や教養としても万人に勧められる間違いない作品。
    蛇足だが映画はツッコミどころしかなかった。改めて原作が素晴らしいことがよく分かった。

  • 読み終わるまでほんっとうに果てしなかった…。
    読んでも読んでも「え!?まだ残りこんなあるの!?」の繰り返し。でも長くて飽きるということは全くなく、ずっと面白かった。
    現実世界とファンタジーの冒険の繰り返しでこのあとどうなっていくんだろうと読み進めていくのが楽しかった。
    また数年読み返したいなと思った本。

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