- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001141115
感想・レビュー・書評
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イギリス児童文学でもあり、以前から読んでみようと思っていた作品の一つであったことを、ジブリの最新作の特集(月刊MOE)で思い出し、ようやく手にした。題名も『思い出のマーニー』でしたが(笑)原作タイトルは“WHEN MARNIE WAS THERE”
岩波少年文庫では、上下巻に分かれているので、感想は、こちら下巻の方に。
物語は、養父母の元を離れて、ひとり転地先に向かうアンナの列車旅から始まる。ここで、心を閉ざした感のある孤独なアンナの思いといきさつが少し語られ、後書きで訳者の松野正子さんが、この出だしがとっつきにくいのでは案じていらしたが、心象的にも深みのある作品らしいと感じた。
アンナは、常々、他の人たちが興じたりする物事の“内側”の輪に入れない“外側”の、いわば疎外感を持っていたが、周りの大人からは、“やってみようともしないこと”(意欲のなさ?)など問題視されており、喘息を起こした後の転地であった。
行先は、養母の友人夫婦が住むノーフォーク州、海辺の村。アンナは、その入り江の湿地に佇む古い屋敷の裏で、誰も知らない金髪のマーニーという不思議な少女と出会い、友だちになるのだが…。
この物語のクライマックスとなる風車小屋での出来事からの後半、下巻に入って、物語は一気呵成に面白くなる。マーニーに置き去りにされたと思ったアンナが、その後、だんだん現実の生活感と人々にもなじみ、物語の伏線から謎ときの形で、マーニーの秘密を知り、やがて気がついてみれば、身丈だけでなく、心的にも大きく成長し、自身も、周りの世界の感じ方も変わっていたのだった。
私も、気がつけば、あっというまに読みおわり、イギリスの風土に根ざした素晴らしい物語を味わえた。
ちなみに、岩波少年文庫の挿絵のペン画は、パディントンでもおなじみのペギー・フォートナム。
ジブリのマーニーも素適な出来上がりだったそうですが(家族談)、やはり、活字=原作を読むのが好きな私です(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
”外側”と”内側”にいることにたいして
アンナが最後に感じることのできた穏やかな気持ち。
それが物語を大きく包んで救ってくれる。 -
アンナが人と関わることの楽しさ、心地よさ、素晴らしさを感じられるように成長して一安心。マーニーのおかげかな。
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【図書館本】下巻中盤からは一気に読めた。マーニーの正体に迫っていくにつれ、ドキドキワクワクしていた。映画のあおりの“マーニーの正体は?”である程度予想出来て、的も得ていたのであのあおりは残念(ネタバレ的な意味で)。
アンナがマーニーのことを忘れるのが唐突過ぎて、しかもあんなに濃かったのに思い出せないとか不自然で少し違和感。そしてマーニーとアンナが一緒に過ごせた理由もよくわからず……でモヤモヤは残ったけど、アンナが成長してる姿を見て暖かい気持ちになれた。 -
上巻に続きます・・
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アンナの心境、人との接し方が変わっていくところが良かった。
真相?がわかったとき、ああ、良かったなぁって思えた。 -
下巻ではアンナとマーニーの秘密が明らかになる。名作。
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とある出来事から心を閉ざしがちになった少女の成長の物語。
とても面白かった!
上巻を読んだ時に、表現面(情景、心理描写など)がいいと思っていた。
しかし、最後まで読んでみて、ストーリーの質も高いことが解った。
大人であっても十分楽しめるものになっている。
(逆に言えば、児童文学としては、若干難しいかもしれない。)
このような素晴らしい作品を読めたことは、原作者はもちろん、翻訳者の力量によるところも大きい。
ありがとうございました!
映画を見る予定がある人は、映画の後に読んでみるといいかも知れない。
映画とはひと味違った角度から、再び思い出のマーニーを楽しめると思う。 -
2014夏ジブリアニメ原作。
そう思って読むからか、ジブリっぽいなー。
上巻のちょっと湿っぽくてホラーチックな感じから、下巻で明るいカラッとした感じに変わっていくのが爽やかというか、ちょっとできすぎな…。
舞台が原作のイギリスから北海道に(つまり日本)に変わっているあたり、ちょっとイメージが変わりそう。金髪碧眼のマーニーと日本人な杏奈とか。(i44)