仰臥漫録 (岩波文庫 緑 13-5)

著者 :
  • 岩波書店
4.04
  • (40)
  • (19)
  • (34)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 422
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101353

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  正岡子規が、死の直前まで書き綴った日記。

     元来、人の日記を読むのがすきなせいもあり、夏目漱石(の日記)つながりで手にとったものなのだけど、ここまで気に入りの一冊となったのは、やはり生きること=食べること、への執着が赤裸々に綴られているからなのだと思う。
     もちろん、綴られている俳句や、日々の徒然にも生への執着、もっと言えばゴールの見えてきた人生ゲーム(しかも一発逆転ホームランの存在しない)で、一体なにをし、なにが出来るのかということを考えさせられるのだけど―――。
     けれどやはり、その人間の本質がもっともよく現れるのは、食欲・性欲・睡眠欲であると思っている次第なので。
     自分は死の直前にあっても、これだけ「おいしいものを食べる」ことに執着し続けることができるかどうか、というのは人生の課題のひとつでもある。

     そして生徒達(小学生)にも、
    「テレビの「坂の上の雲」のハゲのおっさん」
    「野球という言葉を発明したひと」
    「たる柿26個を胃弱の「我輩は猫である」の人(夏目漱石)の前でたいらげて、漱石をへきえきさせたひと」
    「法隆寺のひと」
    で、いいから、どうか覚えていて、いつかこの本を手にとってくれるといいなあ、と!

  • 子規が死の前年の明治34年9月から死の直前まで、俳句・水彩画等を交えて赤裸々に語った稀有な病牀日録。現世への野心と快楽の逞しい夢から失意失望の呻吟、絶叫、号泣に至る人間性情のあらゆる振幅を畳み込んだエッセイであり、命旦夕に迫る子規(1867‐1902)の心境が何の誇張も虚飾もなくうかがわれて、深い感動に誘われる。

     2011年2月20日読了

  • 「坂の上の雲」を読んでから気になっていた、正岡子規が書いた本。亡くなる約一年前から書き始めた、病床日記です。
    日々の事だけでなく、俳句や水彩画等もあります。
    一番驚いたのは、食事の量です。身動きが困難なことによるストレスを、食事によって解消していたのではないかと思えるほど、多くて種類も豊富。当時では珍しいだろうものも含まれています。
    魚が大好きだったようで、一ヶ月で家賃に迫る金額を食べているのがわかる記述があります。
    俳句もすばらしく、惹かれる句もいくつかありました。
    自殺しようしたことが書かれていた所では、鬼気迫る文章にこちらまで力が入ってしまうほどでした。

  • 正岡子規が、喀血と闘いながら、死の直前まで書きとめた日記。
    脊髄カリエスで耐えがたい痛みで寝返りも打てぬ病状のなか、タイトルどおり仰向けの状態で日々の生活を写生したという。

    ”坂の上の雲”に、正岡子規が無名歌人に対して送ったこんな手紙があったそうな。

    「血をはきし病の床のつれづれに
    元義の歌よめばうれしも」

    まったく、「人間というこの痛々しいいきものは、どうやら仕事をするために生きているものらしい。」というフレーズが悲痛にも伝わってくる。

    三度の食事の内容が記録されたり、直筆の俳句や水彩画が挿絵として載っていたりと、非常にユニークな作品でもあるが、かえってリアルなだけに当時の様子がありのままに感じ取れる実に貴重な一冊です。

  • 36ページまで読了。
    記録の凄み、ですね。
    また、読みたくなったら続きを。

  • 2010.4.24購入

  • 子規さんが好きなのです。

  • 小谷野敦氏推薦
    ※ワイド版岩波文庫あり

  • 寺田寅彦が「仰臥漫録には一種の喜劇性すら感じる」と述べてたのにものすごく納得した。
    底抜けに明るく、でもその反動で時々現れる悲壮感や絶望が読んでいる人に大きなダメージを与える、そんな日記です。

    ただ、食べすぎ(笑)

  • 病床の床で子規で見たもの、食べたもの、会った人、起きた出来事。。
    いしいしんじさんが紹介していた新聞記事を図書館で見かけて。

全42件中 21 - 30件を表示

正岡子規の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×