- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004309321
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
[ 内容 ]
一本のはりとひとつまみのモグサ―この極めてシンプルな道具で万病に対処する鍼灸術は、代替医療への世界的な関心の高まりを背景にあらためて注目されている。
無数の流派・会派を超えて、日本各地で活躍する鍼灸師に取材し、その治療の実際、彼らの生の思想や生き方の紹介をとおして、鍼灸という伝統医療の可能性と面白さを伝える。
[ 目次 ]
第1章 鍼灸―自然治癒力の医術
第2章 経絡とツボの不思議
第3章 わざの世界
第4章 鍼灸を科学する
第5章 自立神経免疫療法の誕生
第6章 お灸の里づくり
第7章 いのちを守り育てる
第8章 生き方の医学
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
鍼灸の世界は非常にたくさんの流派がありそれぞれ独自の施術の方法がある。それら日本の有名な新旧派の鍼灸師を紹介している。私の母もリュウマチを煩っていた際にこの本でもとりあげられている鍼灸師の元へ新幹線を使い足しげく通うことで普段の生活に支障が出ないくらいまで回復させて頂いた。そのような例が多数ちりばめられており、鍼灸の奥深さ、鍼により正されることで発揮される人の回復力を知ることができた。体調が悪い時にすぐ医者に駆け込んだり、薬を飲むことを考えるのではなく、どのような生活習慣でバランスが崩れたのか、どうすれば正せるのか自分の体ともう少し会話を心がけようと思う。
-
現在日本の鍼灸界は、大きく分けて古典派と現代派に分かれます。
鍼灸ができた頃の古い書物に源流を求め、陰陽や五行などの理論を利用して配穴するのが古典派です。それに対して現代派は、現代生理学的な知識や西洋医学的な病名で病態を分類し、主に患部を治療し、場合によっては電気などを使います。同じ身体を診て、同じ鍼という治療道具を用いても、身体の診方や、病態へのアプローチには大きな違いがあります。
このような違いは諸先生の考え方の違いであり、一概にどちらが良いといえるものではありません。これから鍼灸治療を学ぼうとしているものにとっては、自分がどのような鍼灸師になりたいかといいう青写真を描くために、現在の鍼灸にある流派や研究会を知っておくことは大切になりますし、自分の治療技術を磨く場や、信頼できる先生を探しておくことはとても大事なことになります。また、これから鍼灸治療を受けたいと思っている一般の方にとっては、これだけたくさんの鍼灸院がある中で、どこの鍼灸院を選択したら良いのか判断がつきにくいところであります。自分が受けたい治療院を見つけるための基礎知識として、鍼灸にも流派があるということを知っておくと選択しやすくなると思います。
この本は、それぞれに特徴を持った鍼灸家の治療体験や治療方針を、著者自らが各先生の治療を受けながら述べています。著者ははりきゅう免許を取得している方なので、その内容は的確です。そのためこの本は、治療を受ける患者様にとっては、鍼灸治療を選択するガイドになり、鍼灸を勉強している方にとっては、自分の方向性の参考になると思います。その他に、流派を問わずに、鍼灸治療の特徴やこれからのあり方、これから鍼灸治療に求められる側面などを問いかけています。一般の方にも、プロの方にも示唆が多く、現在の鍼灸を理解するとても読みやすい本だと思います。 -
現代日本の鍼灸の世界の実情がどのようなものか、その全体像が見渡せて、実に参考になり、考えさせられる。
著者は、長年ジャーナリズムの世界に身を置いた人だが、病気の後遺症を東洋的な自己ケアの方法で行おうと、自ら鍼灸学校に通い、研究を重ねて鍼灸の世界に精通した。こうして鍼灸の世界に初めてジャーナリスティックな視線で分け入り、「平成鍼灸家列伝」ともいうべき鍼灸ルポができあがった。
一読して感じるのは、日本にも個々に優れた鍼灸家がいるが、無数の流派に分かれ、相互に矛盾する理論とわざを展開し、その全体像が見えず、また鍼灸という実践的な学問としての体系化が全くなされていないことである。これだけ多様で創意に満ち、効果的な実践が各地で行われていながら、それらの知見を相互に付き合わせて体系化し、さらに発展させていくような全体的な動きは、ほとんどない。
日本の鍼灸界を俯瞰するための地図がどこにもない現状にあって、この本が「日本の鍼灸を一望の視野に収める地図を描くための予備作業」という意味を担いうることは確かだ。
-
「俺、昔げんきゅうって読んでたよ」ぐらいしか話すことのなかった鍼を少し知ってみる本。読みやすく、良い新書なのでオススメ。